突行部隊

れいとうきりみ

Act1-1 能力

 「ちょっとそこの調味料とってくれるー?」

 「はーい」

俺は棚にある調味料をとってアンナに渡した。

 「みんな今日の予定はー?」

 「特にないかなー」

 「あたしもー」

 「俺もかなー」

 「あ、醬油とって」

 「切れてるよ?」

アオイがノートに醤油を書くと、俺たちがかこっている食卓に出現して倒れた。

 「なんだ醬油くらいすぐ買ってきたのに」

レナがそういった。レナは瞬間移動ができるのだ。

 そう、俺たちは超能力が使えるのだ。


 アンナは心が読める。


 アオイはかいたものを具現化できる。


 レナは瞬間移動ができる。


 そして、俺はすべての生き物やモノになれる。


 俺たちは昔の記憶がなく、気が付いたらみんなで生活していた。名前でお気づきの方もいるだろうが、俺以外全員女子だ。だけど何も起きていない。そして俺らは体つきや身長、知能的に高校生ほどだと推測される。

 

 「支度できたー?」

 「うーん、もういけるよー」

今日は週に一度の出掛の日。買い物から始まって映画を見に行ったり水族館に行ったり、とにかく行きたいところに行く。自分で言うのもなんだが、なかなかに仲がいいと思う。

 

 「外の空気は気持ちいいねー」

 「あんたが出てないだけでしょ」

レナとアンナの掛け合いは、なんてことはないが、ラジオのようにずっと聞いていられる。俺はこの生活が好きだ。みんなと一緒にいられて、毎日が窮屈だけど楽しくて、そして気になる人もいて…。どこをとっても幸せな人生だった。

 そんなことを考えていると、近くからすすり泣く声が聞こえた。

 「なんか誰か泣いてない?」

 「確かに。どこなんだろう」

 「あ!あそこ!」

そこには体育座りをして俯き泣いている少年がいた。面白がってレナが声をかける。

 「わー!ショタじゃん!!どうしたの僕ぅー?」

 「ちょっとやめなさいよ」

 「あの…」

少年が口を開いた。

 「お姉さんたち、助けてくれませんか?」

 「ん?」

 「ぼく…黒い服着た人たちに追われてるの」

黒い人たち?何かの組織か?

 「おーよしよし、お姉さんが守ってあげるからねー」

レナはとっくにお姉さん面だ。

 「とりあえず、いったん家に帰ってその子をかくま―」

次の瞬間、俺の視界は歪んで頭が地面に打ち付けられた。

 「!?」

あまりの速さだったため、俺は何も考えることができなかった。

 「そいつをわたせ。そうすれば命だけは救ってやる」

ふいに男が現れた。お世辞にはいい人とは言えない見た目だった。

 「嫌だね。本能的に拒絶してんだ。もしかしてだが『黒い服を着た人』と関係あるんじゃないか?」

 「黙秘する。渡さないのならば消えてもらう」

男は手を上にあげて合図すると、近くの川から水が集まり二人の人間が出現した。

 「!?」

 「さあ、二人とも。やってしまいなさい」

水男は俺に向かって走りだす。「隠れていて」俺は残りの四人に向かってそういうと、水男に立ち向かった。

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突行部隊 れいとうきりみ @Hiyori-Haruka

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