足跡2

天川裕司

足跡2

タイトル:足跡2


部屋に戻ってみると、

「ん?なんだこれ」

部屋の床に足跡がついていた。

ズックのような足跡?

にしても一足分…不可解だ。


そしてその足跡の横に

腕のとれた男の子のフィギュアも落ちていた。

「はあ?なんだよこれ」

もちろん買った覚えは無い。

ずっとさかのぼって思い返してみても、

俺はこんなフィギュアを買う趣味が無い。


「……もしかして誰かがここに?」

急に恐怖が湧いてきた。

そう思って部屋を見渡すと、

なんとなくそんな気がしてくる。


この部屋に1人で居るのはヤバいかと思い、

俺は外へ出ようとした。その時、

ベッド横のクローゼットの中からゴソ…

と音が聞こえた。

「…えっ…?!」

そんな気持ちになっていたから恐怖の絶頂。


でもここは俺の部屋。

負けてなるものかと勇気を絞り、

とりあえず出て行くのはやめ、

その場に踏みとどまった。


そして今音を出した正体を突き止め、

その正体をコテンパンにのしてやろうと思った。


とは言え、

少し得体の知れないモノに近づくのは勇気が要る。

でもまた「負けてなるものか!」と勇気を絞り、

ベッドに乗って

クローゼットのドアを思いきり開けてやった。


「うおっ!?うぉあわあぁあ!!」

すると一瞬で分かるメチャクチャ大きい

巨大なモノが俺にのしかかってきて、

俺はベッドを飛び越えさせられ

部屋の床にドターン!と押し倒された。


「お前!お前が俺の犠牲になってくれえ!!」

見ると外人??

メチャクチャ大きな巨大な男が今、

俺の上に襲い掛かって乗っている。


「な、な、な!!??」

とか言ってるうちに男は俺に思いきり抱きつき、

ぶちゅ〜〜〜ちゅ〜〜ちゅ〜〜!!と

激烈なキスの嵐をぶちまけてきた。


「や、やめ!やめろやめ!!」

巨大な男「ン〜〜〜ン〜〜〜!!」

何を言ってもどう叫んでもしばらくやめてくれず、

とりあえず男の気が済んだ時に事は終わった。


それから男は何かを見つけたように

さっきの人形を拾い、

ポケットから出したビニール袋に入れ、

ふしゅうふしゅう、とため息を漏らしながら

あとは無言で部屋を出て行った。


「…ふぅ、ふぅ、ふぅ…なんなんだよあいつ…」


後日、真相が分かった。

あの人形は男の欲求不満のはけ口。

人形の腕が取れていたのは、

その人形の腕を自分の都合で使い過ぎていたから。

何に使ったのか知らないけれど

そんなの知りたくもなかった。


そして俺が襲われたのは、

偶然ターゲットに目をつけられていたから。

前から俺の事を知っており、

このアパートに1人で住んでいる事も知っていた。


人形が落ちていたのは、

たまたま落としてしまっただけの事だったらしい。

そしてあの足跡は、たまたま消すのを忘れてたらしい。

玄関からそこまでそのままズックで入ったらしく、

足跡がついてるのを見て

「侵入するにはこれではいけない」

と足跡を消したらしいけど、

人形が落ちていた付近についていた足跡は

そのまま消すのを忘れていた。

どおりで人形を落としたのにも

気づかなかったわけだ。


でも冗談じゃない。

こんな経験をするのは本当にもう2度とごめんだ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=kChs8YLMnOw

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足跡2 天川裕司 @tenkawayuji

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