第2話

 クリーナーズの戦いは、辛く、険しい。彼らがどれだけ人間のために戦っても、それを理解してもらえず、逆に人間たちのせいで追い詰められることも、珍しいことでは無い。


「もうやめて、フィルター!あなたのダストカップは一杯なのよ!今は換えの紙パックがきれているのに…!」

「それでも、必要とされているならば、俺はやらなければいけないんだ…。

ごめんよ、スティック」

ボロボロのフィルターを、必死に止めるスティックだったが、フィルターはその肩に手を置いて、ゆっくりと首を振った。

「おいおい、限界なら引っ込んでろよ。ここは俺一人で十分だぜ!」

「サイクロン!せめてロボットの充電が終わるまで待って!

―――だって、あなたの保障期間はもう…」

 今にも泣いてしまいそうなハンディに向かって、サイクロンはいつも通りの、自信満々の笑顔を見せた。

 立ち向かう。―――今、二人の男が立ち向かう。

 その男たちの背中を見送る、女たちがいる。

「スティック…。なんで、なんで男の人って、あんなにバカなのっ…!」

「見守りましょう、ハンディ。それが、唯一私たちに出来ることよ」

 無理?無謀?無茶?

そんなことは分っている。それでも、敵を放っておけば、ヤツらは必ず人間の身体に侵入する。それがもしも赤ん坊だったら?老人だったら?命に関わるかも知れない。

若い人だからと言って、油断は出来ない。感染症の危険は、いたるところに隠れているのだ。ゴミも、ホコリも、ダニも、決して野放しには出来ない。

「ならば、ヒーローのやることは決まっている」

「ああ…そうだ、決まっている」

 二人は死地へと赴く。しかし、その顔には笑みが浮かんでいた。

それは確信の表れ。もしもここで、自分たちが倒れたとしても、必ずその意思を継いでくれる誰かが現れてくれる。そんな夢物語を、今は心のそこから確信できる。

「おい、フィルター。無理すんなよ。排気にホコリが混じってるぜ?」

「サイクロンこそ、吸引力が落ちてるんじゃないのか?」

 ヒーローはどんなときでも、不敵に笑う。自分たちの戦いの先に、人々の笑顔と、未来があると信じているから…。


「「さあ、始めようか!俺たちの戦いを!」」

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