episode.1
第1話
「…りー?他の人にはだめ、絶対に。」
あれ、なんだろ…
なんだかすごく懐かしい。
優しい声。
誰かが私の頭を撫でてるような、どこか安心するような、そんな…
だってほら、この音も知ってる。
聞き慣れた高めのマリンバの音楽。
鳴り止まず、意識の奥底で響きわたっている。
そう、これは…
「起きなーーーーー!!!!!」
「………っ!?!?!?」
突然、耳元で大きな声が鳴り響き、私はカッと目を見開くと同時に起き上がった。
一瞬わけがわからず、思考が止まったかと思ったけれど、
「アラームずっと鳴ってたから!みんなもう出たし、あんたもちゃっちゃっと起きなよ。」
目の前でため息をつく姉のすぐ後ろにある、大きな時計に目をやれば、
「は、は、8時ぃぃ!?!?」
さっきまで寝ぼけた頭が一瞬にして冷え切っていくのを感じた。
だって、普段は8時に家を出るって言うのに。
起こすならもっと早く起こしてよ、と一瞬文句のひとつも言いたくなったけれど、私が絶望に打ちひしがれている間にそそくさと部屋を出て行ってしまった。
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