第35話

「なんちゅー手違いだよ。」


なんだかんだで同居を始めて1週間が経った。




「俺のせいじゃねぇ。」


後々、考えてみてもやっぱり不動産屋の説明不足だと思う。



俺は、茅野満という若い奴だと聞いていたのに実際は、茅野満という契約者の娘の若い女の子だったんだから。



「どんな徳を積めばそんなラッキーな状況になるわけ。まじで、何かのAVかよ。」



「そんなAV見たことねーよ。せめてドラマだろ。」



まさか、誰かにこのことを言うつもりは無かった。


こうやって面倒くさくなることがわかってるから。



どのみち、三ヶ月の間だけだ。


ちょうど前に住んでた物件の更新時期、良い立地と値段の新築のマンションがあると言われ、すぐさま申し込んだが、退居と入居の間にどうしても3ヶ月の空白の期間ができてしまった。



その3ヶ月前の期間、1年単位の更新が当たり前の物件の中で違約金も何も発生しないという、何とも素晴らしい今のこの物件を紹介されて選んだわけだが…



「女子高生かぁ、いいなぁ。」


さっきから同じことを繰り返し呟く悟。


他人事だからこそ言える台詞だとも思うけど。



「ちなみにどんな子なの、その女子高生は。ご飯作ってくれるとか夏希に惚れてんじゃん?」



「それはない。」


それは断じてない、言い切れる。


むしろ苦手だと思われてる気もする。

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