第2話:せのは開催地域について調べるらしい
文学フリマについて調べ始めた主婦人魚。
各地方で様々執り行われているが、ここはやはり人が多く来る、規模の大きい所に行きたいと思うのが自然だった。
しかしせのが住むのは瀬戸内海の自然豊かな広島。
いちばん大きいであろう東京文学フリマに行くには、交通費だけでも3万はかかる。
宿泊費、食事代、土産代。必要経費を考えたら、もうそれだけで5万くらいはかかるだろう。
諭吉さん、5人。そっと、ブラウザを閉じる。イラストで収入が幾らかあるとはいえ、専業主婦に5人の諭吉さんを召喚するのはMP不足だ。
でも……まぁ、なぁに。東京とまではいかなくても、まだ大都市大阪があるじゃあないか。
大阪はいい。新幹線がなくても高速バスが使いやすい。たこ焼きや串カツを食べて帰るのもいいだろう。せのは結構ご当地グルメがだいすきだ。
経費を計算。3万はかかる。
まぁ、これはこんなもんでしょう。諭吉さんが2人いないだけでも大分強い。
しかし忘れてはいけないのが、印刷代などの計算だ。
フォロワーさんがご利用されるだろう印刷会社さんを調べつつ、予算をぽちぽち計算した。
えーと、10冊くらい……約5万文字……120ページとか多めにしといて……あ、グッズも出したい……
経費、計算。そして記載される現実。
おいおい、あかん。5万くらいになるじゃあないか。帰ったはずの諭吉さんがダンシングしながら戻ってきたぞ。
ブース代や印刷費用は絶対に削れない。約2万程度のそれを考えると、今度は大阪までの移動費や宿泊費用を削るしか考えられなかった。
さようなら、たこやき。さようなら、串カツ。見えぬくいだおれ人形に手を振る人魚。
となれば、もう残るのは地元広島の文学フリマしか方法は無い。
大阪や東京に比べたら小さいだろうが、考えてみれば広島も中四国で1、2を争う街なのだ。
牡蠣やレモン、お好み焼きで賑わう広島。産業会館もよく知ってる。そうだ、やはり地元しか勝たん。
幸い会場から実家に行き来はできるし、すなわち宿も食事もタダとなる。ああ、そう考えれば何もかも都合のいいところでは無いか。
ありがとう広島。ありがとう実家。家族に何も相談してないが、まぁその辺はなんとかなるやろの精神でいきましょう。
そういう事で、せのは初出店の場所を広島に定めることにしたのだった。
しかし文学フリマ広島は、既に先着応募が埋まり切り、販売者として参加するには抽選で当たらねばならぬ状態になっていたのだった。
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