第2話
「いやあ、噂の1年がふたりも揃うなんて面白ぇわあ」
名前の知らない男の先輩(風貌からして)が、耳を真っ赤にしてアルコール臭をばら撒きながら大笑いして言う。
登山サークルと天体サークルという自然を堪能するはずのふたつのサークルは、暖房の効いた居酒屋で大量のアルコールと下世話な話の活動に勤しんでいた。
居酒屋の座敷を占領する合同サークル呑みは、大いに身内だけで盛り上がっていた。
「んで、ぶっちゃけトラは大学入って何人と寝たんだよ」
騒がしい店内に飛び交う会話の8割が恋愛に関すること。男女混合の飲みになるとこの割合は上がる一方だ。
私はウーロンハイを呑みながら、『トラ』と呼ばれた斜め向かいの男をちらりと見る。
「江口さん何言うてはるんですか、人は毎日寝るやないですか」
柔らかな笑い声を立てる男。白い歯に八重歯を見つけた。
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