ぼっち冒険者は誰も寄せ付けない
@Katukitaiki
プロローグ 光月聖の独白
まだ幼い頃、光月聖の夢は冒険者になることだった。テレビで見る剣と魔法の世界は、彼にとって希望そのものであり、憧れだった。聖は冒険者として、仲間たちと共に強大なモンスターと戦い、未知の世界を探検する姿を夢見ていた。
しかし、聖の家庭環境は決して良好ではなかった。父は突然の病気で働けなくなり、そんな父の病院代を稼ぐために、母は必死に働いていた。そんな母も過労で体調を崩してしまい、家計は困窮していた。そんな状況が、聖を周囲から孤立させる要因となっていた。
小学校へ通う聖は、同級生たちからの冷たい視線に常にさらされていた。彼の服は古びていて、いつも清潔とは言えない状態だった。小学校の同級生が嘲笑しながら悪口を言う。「お前みたいな貧乏な子が冒険者になれるわけないだろ?」
小学生の容赦ない言葉が、聖の心に重くのしかかる。彼はその瞬間、自分の夢が周囲の期待や評価に翻弄されていることを痛感した。
周囲の冷たい視線が、心にさらなる痛みを与えた。彼はいつも一人ぼっちで、悪口を罵られ、いじめられる日々を過ごしていた。周りの子供たちが楽しそうに遊ぶ中、聖はその輪の外で孤独を感じていた。
そして孤独の生活が続き、数年が経った。
公立高校である冒険者高等学校を血の滲む努力でなんとか入学して、卒業した。
冒険者登録をできる条件は二つ。
•冒険者高等学校を卒業すること。
•登録の際に戦闘系のジョブを取得すること。
聖は高校卒業を期に一つの条件を満たした。
後は明日、冒険者協会に行き、ジョブの判定を受けるのみ。
つぎの日、起きてすぐに支度をして家を出る。
もう亡くなってしまった父と母にスマホで「いってきます」のメッセージを入れて冒険者協会に向かうのだった。
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