幼馴染みとの思い出、ありますか?

崔 梨遙(再)

1話完結:1300字

 僕には、幼馴染みの女の子がいた。名前は明日香。小学校の時は1年生~6年生までクラスが一緒だった。小学校の1年生の時から一緒にいた。小学校の低学年から中学年までは、同級生の男の子、へたれ君と一緒に家に遊びに来てくれた、へたれ君が誘うからだった。


 まあ、小学生の時のことなので、顔も体型もやがて変わっていくのだが、僕は明日香のことを美人だと思っていた。彫りが深い。背も高い方で、小学生の時は、僕等よりも背が高かった。小学生とは思えないくらいスタイルが良かった。体育の時に見たら脚も長かった。ちょっと日本人離れしていたかもしれない。お父さんも男前、お母さんも美人だったので、単純に遺伝かもしれないが。


 明日香は勉強も出来た。スポーツ万能だった。女子のリーダー的存在だった。そんな明日香がどうして僕の家に来るのか? わからなかった。単純に、へたれ君が誘ったからだろうか? という感じで書くと、明日香が僕のことを好きだったから! だと思われるかもしれないが、そうではない。


「私、紺野君のことが好きやねん」

「……」


 紺野君は僕と親しい男の子だった。


 そして、時が経つと、


「私、大林君のことが好きやねん」

「……」


と言い出す。


「私、矢沢君が好きやねん」

「……」


 中学生になると、


「私、鷹村君が好きやねん」


と言い出した。


 ニアピン。いつもそうだった。明日香は僕の近くにいる男の子を好きになる。でも、いつも僕じゃない。僕じゃないのだ。


 中学になると、何故か明日香は成績が下がってしまったが、テニス部の中心人物だった。背は165センチまで伸びて、中学生とは思えないスタイルになった。ますます魅力的になったと思う。


 だが! 不思議なことに小学校から中学校にかけて、明日香は男子からモテなかった。僕はそれが謎だった。どう見ても彫りの深い美少女なのに。


 僕は明日香と違う高校に進んだ。僕の両親は趣味でテニスをやっていたので、明日香を誘って毎週土曜日に一緒にテニスをやっていた。その時の写真を見せてもらったことがある。完全に“大人の女性”になっていた。僕には、その写真が眩しく見えた。


 やがて明日香は女子短大に行き、ウチの両親とはテニス仲閒のままだった。卒業すると、明日香は実家の喫茶店を手伝うようになった。看板娘だったと思う。


 一度、高校の同級生を、明日香が働く喫茶店に連れて行ったことがある。同級生は、店で働いている明日香を見て言った。


「めちゃくちゃ魅力的な娘(こ)やんか!」


 でしょう? 明日香は魅力的なんだよ。良かった、僕の目は間違っていなかった。


 僕はいつも、明日香の視野に入っていなかったので、他の女の子を好きになったりしていたが、もしも明日香から“付き合ってくれ”と言われたら付き合っていたと思う。そうなれば、漫画やアニメのような“幼馴染みの物語”になっていたのだ。幼馴染みはいたのに、いつも僕を見てくれなかった。僕と親しい男子ばかり見ていた。明日香には、一度でいいから僕を見てほしかった。非常に残念な幼馴染みだった。



 皆様には、親しかった幼馴染みはいましたか? 漫画やアニメ、ドラマのような……。







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