第32話

「ところで、ルイは元気になった?」



突然、マナが私に問い掛けた。



「は?私は、ずっと元気だけど?」



何のことだか分からずに、そう答える。



二人は顔を見合わせて、言いにくそうに黙っていた。



「ちょっと!!何?気になるじゃん!!」



私が、少し強めの言い方で言うと、トウヤが口火を切った。



「いや…あのさ、ルイ覚えてないか?」


「何が?」


「かなり前なんだけど、サークルの飲みの帰り、俺お前のことおぶって帰っただろ?」


「あー、うん。それが?」


「あん時、お前泣きながら『まーくん』とかって呼んでたんだよ。」


「え……っ。」



私はただ驚くしかなかった。



「その日くらいから、なんとなく元気なくなってったから心配で…。」



トウヤの隣でマナが心配そうに私の顔を見つめている。



「心配してくれてたんだね。ありがとう。もう大丈夫だから!」



私は笑顔で告げた。



「何かあったの?」



そうマナが訊いてきてくれたけど、私が『何でもないよ。』と返すと、二人はそれ以上は訊いては来なかった。




でも、少しだけ寂しそうな顔をしていたのが私の胸をえぐった。

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