第29話

まーくんのことを誰かに言葉で伝えたのは、久しぶりだった。


それに、まーくんを想って涙を流したのも。


まーくんと決別するって覚悟を決めた日から一度たりとも彼を想って涙した時はなかったのに…。




ずっと心に秘めていた想い。


本当は誰かに聞いて欲しかった。


溢れそうな想いを必死に理性で止めてきたの。




言葉にすると私の中の、彼への気持ちが確かなものへと、変わっていく。




『忘れる必要なんてない』


この言葉で私を肯定してくれたことで、重かった気持ちが軽くなった気がした。



無理に忘れようとしても、忘れることなど出来るはずがない。



忘れるという行為が、すでに彼を思い出させるのだから。




『好きなら好き』



理屈とかじゃなくてそれだけ。


ただ好きなんだ。






私はまーくんが、今でも大好き。





それでいいんだと素直に思えた。

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