第16話

先輩に触られた時、本当に凄く気持ち悪かった。



背筋がぞっとした。


もちろんただその行為が嫌だということも本当。



だけどもう一つの理由は、まーくんに最後に触られた感触が、他の人に触られてることで消えてしまうような気がして、とても嫌だったの。



人に触られるだけで、その人を愛せたのならどんなに楽だろう。


そうして、前の恋を忘れることが出来るのならば、どんなに楽だろう。



まーくんとの思い出さえ、なくなっちゃえば私はきっとまた新しい恋が出来るのに…



そう思ったらまーくんの存在が、足枷になっているような気持ちにもなった。





この恋を、忘れられたのならどんなに良いか。



この恋が、簡単に消えてしまうようなものだったら、どんなに良いか。




だからいっそのこと、



まーくんのことを忘れちゃえたら良いのに…。

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