第15話

目を覚ますとそこはトウヤのアパートのベッドの上だった。



二人を見ると、缶ビールや中ハイを机の上にいっぱいにして、飲みなおしていた。



「何~!また飲んでんの!?」



私が突然起き上がったことに、吃驚したようで一瞬体を震わせて、こちらを見た。



「おう、ルイ起きたか!」


「ルイ、おはぁ~!気持ち悪いの大丈夫になった?」


「うん。二人ともありがとね!」


「ルイの為だもんな~?」


「ねぇ~!」



トウヤとマナは二人で顔を見合わせて笑ってる。


二人の言葉に私は嬉しい気持ちで複雑になった。



「ルイ、こっち来いよ!一緒に飲もうぜ!!」


「ルイも飲んじゃおう!!」


「うん!」



私はベッドから降りて、二人の方に行く。



「つらいことは忘れるのが1番だよ~♪」


「そうそう!飲んで忘れちまえ!!」



二人はそう言って自分の缶を差し出す。


私も持っている自分を二人の缶に当てた。



―カンッ



缶同士のぶつかる音がする。




私はこの時、二人がさっき先輩にされたことを言っているのかと思って、


「だね!!気にしない、気にしない♪」


って茶化して、笑った。




二人が言っていたことが、違う意味だと気がついたのは少し先の話。

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