夏色の君は、向日葵の匂い。

早乙女 寿音

第1話 夏色の転校生

静かな空に、入道雲がふわりふわり、宙に浮く。

そんな夏の日。


ワイワイと騒ぐクラスメイトたち。

うるさいとは思うが、仕方ない。

なんせ、今日転校生が来るのだから。


チャイムがなり、ホームルームが始まる。

大きな音を立ててドアが開けられた。入ってきたのは、担任の島コー(本当は島 光太郎という名前だが、みんなそう呼んでいる。)と、背の高い、ネクタイをした美人だった。黒いつやつやなストレートヘアは腰まであって、いかにもクールそうな顔立ちをしている。

「なぁなぁ レオっち、あの子めっちゃ美人じゃね?」

俺にそう話しかけてきたのは、左隣の佐藤だった。

俺は返事もせず、ただ、黒板に書かれる彼女の名前を見ていた。

「宮下すみれ」

それが彼女の名だった。


しばらく黒板を見ている間、いつの間に彼女は俺の右隣に座っていた。

(この展開って、、少女漫画か!?)

不思議と胸が高鳴った。


業間休みになると、彼女が話しかけてきた。

「あの、松田くん。」

「は、はい?」

「あのさ、この学校の名前ってわかりづらいよねー!」

「ま、まぁ」

「だってさ、ひがしって書いてあずまだよー!?」

「…」

「まーじ意味わかんなーい!アッハハハハ!」

「ねぇ、松田くん。」

「はぁ、」

「友達になろっ!」

第一印象とは、当てにならないものだ。

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夏色の君は、向日葵の匂い。 早乙女 寿音 @nekoneko220911

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