人間嫌いの他人推理

高松 庚栄

第壱章『人間嫌いとライバル』

第1話

 結論から言おう。

 ぼくは決してこの物語の主人公ではないし、『主人公』に対する『ナニカ』でもない。

 けれど、モブというワケでもないのは、たしか。


 ただ、こうありたいと、ぼくは昔から思っているし、これからも同じなんだと軽く想像がつけられる。

 これを知って、呆れるのなら呆れればいいし、見限るなら見限ればいい。カッコつけだと思うのもいいと思う。

 ぼくは、君たちとは“他人”だから、その全てを認識して、認めよう。それでも足りないというのなら、時には謝罪もするし、時には証明もしてみよう。


 ここで、英雄譚やファンタジー物語に憧れる君たちには、かなり失礼なことを告げるかもしれないが、それでもあえて言おう。

 この世界には、たしかに『主人公』は存在しているし、ソレに対する『ナニカ』も存在し得るだろう。

 ただし、君たちの大半は、そのどちらにもなれない。ぼくも同じだ。


 だから、この作品は、どこまでもぼくの視点で語るし、ぼくの思考と行動を中心に進めていく。

 時には、君たちを貶すかもしれないし、君たちの愚痴を溢すかもしれない。

 けど、これだけは、君たちに認めてほしい。

 どうか、『主人公』とか『ナニカ』になりたいからって、ぼくをそんなモノたちと同じに思わないで欲しいんだ。


 それでも構わないのなら、どうかこのまま読み進めて頂こう。

 これからの話は、ぼくが『主人公』の『ライバル』と導き出すことになる身勝手で俯瞰的な他人推理の物語だ。

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