第2話 護守探偵事務所
見慣れた扉を開けると、嗅ぎ慣れたいつもの香りがし、ようやく帰ってきた感じがした。
「おう戻ったか、お疲れさん」
事務所に入ると真っ先に中崎さんが出迎えてくれる。
「本当は俺もついていきたかったんだがお前らが平気だっていうからな。まったくいつの間にか立派になったもんだ。瀬藤のやつなんかはずっと心配してたけどな」
「そりゃあ心配するだろ!まだ社員になって日も浅いのにふたりだけで異能者と相対するなんて......!」
瀬藤さんが安堵と心配が混ざったような声で言った。
「若さを奪う能力だけ警戒していればなんとかなりました。フードのおかげです」
以前にも中崎さんたちは目を合わせることで相手を死に追いやる異能者と対峙したことがあったらしく、今回も同様のケースだと予想し、私たちはフードを被って任務に当たることとなった。
「空ちゃんも凪紗ちゃんも随分たくましくなっちゃって。時が経つのは早いわねぇ」
やり取りを見ていた桜田さんが微笑む。
「私たちももう社会人です。いつまでも子どもじゃありませんから」
隣にいた凪紗が口を開いた。
今回一緒に仕事をした私にとってかけがえのない仲間であり家族だ。
さて。
部屋の奥に目をやるといつもの場所にその人がいた。
「ただいま戻りました。所長」
「よく戻ったな。空、凪紗。今回はよくやった。ふたりともゆっくり休むといい」
私たちの養父であり、護守探偵事務所の所長。
そして、私たちをこの非日常な日常へと導いてくれた存在だ。
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