Paranormal
えすえいちさん
第1話 日常に潜む非日常
人間の潜在能力には先天的にリミッターが存在する。
しかし、ごく一部の限られた者たちだけはそのリミッターが壊れていることがある。
そんな世の理から外れた存在を異能者と呼ぶ――—。
深夜、人気の無い町を歩くひとつの影があった。
その影の主はフードに身を隠し、素顔はよく見えない。
話は変わるが、この町では最近奇妙な事件が多発している。
これは一分の警察関係者にしか知られていないことなのだが、若者が突如老人の姿となって死体で発見されるといった事件だ。
「......頃合いか」
住宅地を離れ、遮蔽物の一切が無い川沿いへと移動する。
振り返ると、そこには大学生ぐらいの女がいた。
「......私に跡をつけられてることを分かってここに誘い込んだ訳ね......
一体何が目的なの......!?」
返事は無い。その代わりフードの人物は女へとゆっくり近づき始めた。
「嫌......!来ないで......!」
近づいた分だけ女が後ろに下がり距離が縮まることは無い。
しかし恐怖心の方は限界を迎えていたのだろう。
「来ないでって言ってるでしょ!!!」
女がフードの人物に飛び掛かった。
とてつもない速さではあるが一目で素人だと分かる大振りの攻撃を連発する。
しかしフードの人物も常人には捉えられぬであろう速さで身を動かし、それらのすべてを躱した。
「なんで......!なんで......!?」
女は半狂乱になりながら攻撃を続ける。
「なんでぇ......!なんでなのぉ......!!」
すると徐々に女の身体が老け始めた。
それに比例するように攻撃も勢いを弱めていく。
(若さを削って無理に身体能力を上げた代償か......)
「ああああぁ......!ああああああぁぁぁ......!!」
ビュオオッ......
先刻まで無風だったハズが突如として風が吹き始める。
ビュオオオッッ!!
風は女を中心に勢いを増していき、ついには巻き付くように拘束した。
「なによ......なんなのよぉぉぉ......!!!?」
女は残った力を振り絞り、風のした方向に目をやると、そこにはもうひとりフードをした人物がいた。
「......!?」
「コウ」
おそらく自分と戦闘をしていた方の人物から出た言葉であろうがもはやそちらを見ることさえ叶わない。
声が聞こえたとほぼ同時に女の意識は遠のいていった。
「......これで終わりか」
そう言って、気絶した女を乗せたパトカーの後ろ姿に目をやりながらフードを脱ぐ。
そして、ロングヘアーの黒髪があらわとなった。
「誘導お疲れ様。空ももう脱いでいいんじゃない?」
ロングヘアーの女に促され、空と呼ばれたもうひとりもフードを外す。
そうすると、
女性とも見間違えるような中性的な顔立ちに、先にフードを脱いだ女にも比肩するほどの長い白髪をした男が姿を現した。
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