異世界行っても、俺YOEEE......

孤高の弱者.com

プロローグ 自殺



 真夜中。マンション群が凹凸となって不気味である。

目に掛かっていた前髪が、風に揺られてよく見えた。


「くだらない人生だったな……」


下に目をやると、駐車場にある車体やマンションを囲む生け垣が、あんなちっぽけに見えた。


「もし来世があったら、異世界が良い。

努力せずに無双して、称賛されて、恋愛して、結婚して……」


そんな馬鹿な妄想をしていたら、少しだけ気が晴れた。


ぎゅっと掴んでいた手すりを離し、体を前へ傾ける。

風と重力を強く感じる。

途中から深海に潜るようだった。

地面から光を感じる。

不思議と痛みは全く無かった。

過去のくだらない記憶を泳ぐ。

ようやく意識が途切れてくれた。



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