episode2  相棒

翌日


朝イチから机には資料が置かれていた。

その資料に目を通す。

(今日はこの人が護衛対象か…)


出雲優香(いずもゆうか)25歳

現在話題沸騰中のvtuberグループの方だ。


そのvtuberモデルの名前は詳しくない人でも名前ぐらいなら分かりそうな程有名な人だった。


仔細は分からずとも大方、過激化したファンに自宅を付け狙うストーカー行為の被害があるのだろう。


(さぁ、行こう)


朝のオフィスは人が少なく、俺か相棒しかいない。


相棒……………刑事ドラマなんかじゃ当たり前の立場だが、自分とは異なる、闘うだけではない。所謂、頭脳派的な相棒は、朝早めに出てくる。


「やぁ、おはよう」

そう、話しかけてきたのは、俺の魂の相棒。

水嶼一葉(みずしまいちば)

部隊の作戦を立てる参謀だ。

「あぁ、おはよう」と返すと相棒は

「昨日君の仮眠室のデスクに置いた資料をみてくれたか?あの人が次の護衛対象だ。」

了解と返すと。


「今から、来るそうだ。先ほど連絡が入った。」


そして俺は答えた。

「あぁ、了解した」




       〜spg-ζ本部〜


「始めまして、今回身辺警護を担当する新道と水嶼です。」


彼女は、「よろしくお願いします。」と言った。


彼女から被害の状況を聴くと、それは酷いものだった。

彼女は先週の末、仕事を終えコンビニに行った。しかし、返ってきた彼女の目に映ったものは想像を絶するものだった。

棚は散乱し、コップは割れ、枕元にはナイフが置かれていたそうだ。恐怖心から今は親友の家に匿ってもらっているらしい。過激なファンもいるようだ。

ここまで聞いてふと、疑問に思うことが一つ。

何故警察を頼らないのだろか?

俺は直接聞いてみた。

「心情お察しします。しかし何故警察ではなく、ウチの部隊に?例えば警察が動かず、事務的な処理だけで済まされたとか。」



彼女はしっかりとした目で答えてくれた。


「実は、私は国に存在を狙われています」


  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る