ハッピーエンド(2)覺める
「もういいんだ疲れたんだよ」汚い弱音を吐いた。何もしていないのに疲れてなどと抜かす自分に腹がたってしょうがなかった。
「でも…」
「でも何だよ!俺は何もできなかったいつだってそうだ。何かをやろうと決心したが途中で投げ捨ててしまうそれなのに、人が努力をしている様を見て俺ならもっと良くできると過信している。口だけじゃねぇか全部!何もしていないのに何かをして努力をしましたアピールだけは一丁前!俺は根っからのゴミでクズで何もできない人間以下の何者でもないだちっぽけな生命体だよ!」
彼女の言葉を遮り己への馬場雑言を吐く。
「貴方が優しいことを皆は知っている貴女がいつも掃除を手伝ってくれる。優しさを私たちは知っている。正義感の強い貴方を私は見ていたよ。」
「偽善だ…そんなのはまやかしでしかない。」
「抗おうよ君ならまだその力が残ってるはず」
「残ってないそんな力なんて」
今思えば否定をしたかっただけなのかもしれない。
「それでも生きててほしいよ…」
「何で…?」呟く彼女に問いかける
「貴女が友達だからだよ」
「友達…?」動揺を隠そうとも思えないほどに衝撃が走り同時に視界がボヤケた。ポタポタと流れ落ちるボヤけの正体はあらゆる感情が入り混じった混濁であった。なぜ泣いているのかは自分でも分からず考えられず下を向き嗚咽が脳に響く。体感一時間であったがおそらく一分の出来事であろう。
彼女は口を開くんだ。
「実は貴方のことを屋上の扉の手前で見てたの…けどね、貴方は気づいてないかもだけどあの時貴方はずっと何かを待っていたんだよ。」
「違う俺は…」知っていた分かっていた
「貴方は誰かが止めに来るのを待っていた。貴方の目が助けて欲しいと叫んでいた。本当は怖くて死にたくなくて求めていた。」
「俺はなにも求めてなんか!」俺は…
「求めていいんだよ!わがままに全てを求めて。だからさ、貴方を求めちゃだめかな?」
瞬間、知っていた既成事実に嘘を塗り固めていたはずのものが消えていた。空は晴れ蒼く染まった。いや染まった蒼はずっと存在していた。だから、初めて僕が蒼を知り初めて僕が蒼に染まり初めて僕は上を向いた。コンクリートの空だけを見てきた僕には眩しすぎた。
「ありがとう」
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