【徴収】おらにちょっとだけ:お金をわけてくれ
「あえてもう一度声を大にしてお願いしましょう!! どうか皆さんっ、僕に、ちょっとだけ、お金をわけて下さーいっっ!!」
僕の力はお金だ! お金さえあればあんな軍勢ごとき、なんでもありはしない!
僕は銀の目の力を使い、現在の予算と兵の状態を表示させた!
ただし、大広間の大門側に! 渋谷の大型ディスプレイよりも巨大な画面を作って、民に悲惨な現実を突き付けた!
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【辺境伯領ザラキア】
【兵力】 43
正規兵: 19 ( - 6)
志願兵: 24 ( -13)
負傷兵: 21 ( +19)
【兵糧】2440
【金】 1596
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兵の3割が死んだ。突然突き付けられたこの情報に、民の多くが衝撃を受けた。
志願兵の家族と思われるご婦人が悲痛な叫びを上げるのを、僕は歯を食いしばって堪えた。
「ククク……助かりたかったら金を払えとな?」
「……そうだよ、ニジエールさん。とてもシンプルでいい話だと思わない?」
「まったくのぅ、いい子ちゃんぶるくせに、わらわよりがめつい坊やじゃ。ほれ、これでよいか?」
ニジエールさんがお婆ちゃんが持つようながま口の財布を取りだして、『パチリ』とその口を鳴らすと、それを僕の足下にひっくり返した。
金貨と宝石がジャジャラとこぼれ落ち、領地の予算が『【金】1631(+35)』だけ増えた。
日本円の相場で乱暴にたとえると、金35は35万ほどの融資になる。
「ありがとう、でも全っ然っ足りませんっ!! もっとっ、もっと僕にお金の力を分けて下さいっ!!」
僕の力は現実を改変する。力は時をさかのぼって、その施設が始めから存在していたことにしてしまう。
「あらあら~、うちの子たちのお婿さんにほしいくらい、商魂たくましい子ね~……♪」
ロリババァの母たるロリババァ、少しややっこしい存在マミエールさんが僕の前に出た。
「すみません、僕、ロゼッティア一筋ですから」
「まあそう言わず、うちの子たちを全員めとってくれてもいいのよー♪」
「はいっ、ありがたい申し出ですが、謹んで遠慮いたします!」
外見ロリだけで波風が立つのに、さらにババァ属性を抱えた人たちを7人もめとるとか、モーセだってそんな試練受け止めずに『ざけんな神!』と叫んで、一本背負いでぶん投げると思うよ!(偏見)
「あら、残念~……。まあそうね~、ここは死の寸前から入れる保険があった、と思うことにしようかしら~♪」
「はい、ロリババァの皆様でも、今から入れますよ、この保険!」
そう保険の外交官よりも誠実に口約束を交わすと、またがま口の財布が姿を現した。
そのお財布からジャラジャラと、ニジエールさんの投資の上に金貨が降り注ぐ。
「べ、別にっ、アンタとロゼの赤ちゃん見たさにっ、お金を出すんじゃないんだからねっ!?」
「絶対見せるし抱かせてあげるよっ! だからお願いツンデールさんっ、みんなを守るお金を僕にちょうだい!」
「ふんっ、都合のいいときばっかり下手に出るんだからっ! アンタなんてさっさとロゼと幸せになっちゃえばいいのよっ!!」
白いうさぎさんのかわいい――でもやっぱりがま口財布から、ジャラジャラとお金が降り注いだ。
「おほほほっ、本当に面白い坊やねーっ♪ いいわよ、お姐さんの大切なモノ、ア・ゲ・ル……♪」
「アマルガム姐さん、ありがとう!」
「いいのよ……いつか貴方の一番大切なものを、アタシと取引してちょうだいね♪」
「はい、お断りです!」
ザラキアの名だたるお金持ちたちが僕に出資をしてくれた。金貨、銀貨、銅貨、宝石、様々な富が僕の足下で山を作った。
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【金】1748(+117)
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それでも足りない、まだ足りない、全然足りない!
「ポンちゃんっ、僕にお金をいっぱいわけてくれーっ!!」
<「 もきゅぅ……そうしたいところもきゅが、ポンちゃん、キャッシュレス気味なたぬきもきゅぅ…… 」
そう悲しそうに言って、ポンが小銭と飴ちゃんをよこしてくれた。
「そんなっ、ポンちゃんの裏切り者ーっ!」
<「 融資する気はあるもきゅっ、でも今は手元にお金がないもきゅぅーっ! 」
クッ、お金が足りない! ポンちゃんは悲しげにうつむいた。
ところがその事態に反応してか、画面に大きな変化が起きた!
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【財政】
ポンデ・リンの出資を受け付けますか?
→・是 ・否
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<「 もきゅっ!? ポンちゃんお金持ってないもきゅよっ!? 」
このコマンドはもしかして、建設をしたり、クエストを達成する時と同じような、あのデタラメな現象を起こすものなのでは……?
いやとにかくポンちゃんは僕に出資をする気あり! その気持ちを信じて進もう、この道を!
「ありがとうポンちゃんっ、ポンちゃんのお金、ごちになりまーすっっ!!」
『・是』を押してポンちゃんからのありがたい出資を受け付けた。
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【財政】
ポンデ・リンの出資を受けた!
ザラキアは【金】1000を受け取った!
【金】2748(+1000)
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すると見る見ると、僕の戦闘力(お金)が増えてゆく!
というか、たぬきの顔が掘られたふざけたデザインの金貨・銀貨が天から降り注いでいた! 気分はジャックポットッ、ポンちゃんの出資はぶっちぎりで圧倒的だった!
<「 よくわからないけどやったもきゅぅー! 」
<「 これがポンちゃんのっ、ブラック企業から救ってもらったポンちゃんの感謝の気持ちもきゅよぉぉっっ!! 」
ただのたぬきの命なんてわざわざ敵が取るはずないのに、日本円で1000万円分をポンと出してくれたポンちゃんは『たぬ神』だった。
「さあ、今のを見たでしょう、皆さんっ!? なんと今なら口約束でも出資が可能です!」
大広間の出口側に広がる巨大画面を、僕は『ビシリッ』と指さして求めた。
「さあ皆さん、生き残りたかったら、ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリ僕にお金の力をどうぞっ!!」
するとどうだろう。恐怖していた避難民たちの様子が変わった。彼らは口々に叫んだ。領主にお金を出すことで何がどうなるのかはわからないが、目の前で確かに奇跡が起きている!
人々はお金の山の中で両手を掲げる僕に、口々に口約束で出資を誓ってくれた!
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