11月14日 暴走車
車に乗っていた。
私は助手席に座っており、運転席には友人Nがいた。後部座席には友人TとRの姿があった。しれっと無免許運転中の友人Nに度肝を抜かれたが、そんなことを窺わせぬほどの安定した運転テクニックだ。
私含め4人を乗せた車が走っているのは、両サイドに多くのチェーン店が立ち並ぶ、郊外の大きな通りのようだ。信号もなく車通りも少ないため、すいすいと順調に進んでいく。
5分ほど経った時、Nが急にウインカーを出した。看板を見たらどうやら自動車販売店のようだ。広い駐車場に多くの車が止まっている。Nはそこに躊躇なく入るとスピードを緩めることなく、止まっている車を片っ端から轢き始めた。
「!?」
突然の奇行に戸惑う私を尻目に、止まっていた車を全て破壊し終えたNは何事もなかったかのように車道へと戻る。後部座席の2人に助けを求めようと思い振り返ったが、彼女たちも平然と座っているだけだった。
その光景にドン引きして視線を前に戻す。ふと横から視線を感じ横を向くと、運転席のNがじっとこちらを見つめていた。運転に集中しろと注意したが聞く耳を持たない。微笑を浮かべ私を見つめたままどんどんスピードを上げていく。
「ちょ、前前前前っ!!!!ぎゃーーーー!!!!!!!」
私の叫び声が響く。そうこうしているうちにまたもや駐車場に突っ込んだ。お次は某有名なハンバーガーチェーン店のようだ。止まっていた車を次々に轢き、また当たり前のように車道に戻り走り去る。去り際に店から黒い服の二人組が出てくるのが見えた。
車の残骸が転がる駐車場にちらりと視線を向けながらNが話しかけてきた。
「バレないといいねー」
「まぁ、どうにかなるんじゃない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます