ゆめにっき

梨亜

11月

11月13日 服を買う

我が国の戦況は厳しいらしい。


長年に渡る激戦による兵力不足を補うべく、遂に学生である私たちも学徒兵として◾️◾️◾️◾️◾️に出征することとなった。


いや、学徒兵といえば聞こえはいいが、実際はただの肉壁要員である。当たり前だ。訓練もほとんどしたことがなく、武器や物資もろくに支給されてないのだから。せいぜい的となって敵国の銃弾を消費させるくらいの活躍ぐらいしかできないだろう。


今日も学校に数十人分の遺体(とは言っても腕や足など身体の一部だけしかないようだ)が無造作むぞうさに詰め込まれた一つの棺が送られてきたようだ。私も数日後にはこのようにただの肉塊になる運命なのだろう。不思議と恐怖心は湧かなかった。



気がついたら服屋の中にいた。かなりこじんまりとした、古い木造の部屋だ。平台の上に畳まれた服がいくつか置かれている。品揃えはあまり良くない。また服屋というには随分と薄暗い。アンティーク調とか落ち着いた雰囲気というよりは、ただ単に電球が切れてしまっただけのようだ。私以外に客はおらず、奥のカウンターには店員らしき人物が1人いた。彼女はこちらに視線を向けたが特に何も言わない。歓迎されているのだろうか?接客態度をもう少し改善するべきだと思う。


どうやらこの店には2階もあるようで奥に階段が見える。せっかくなので行ってみようと人一人分ぐらいの幅しかない狭い階段を登る。埃っぽい。掃除をしていないのだろうか。


2階にはハンガーラックが二つ置かれ、いくつかの服が掛けられていた。こちらも数は少なく4着ぐらいしかない。全てワンピース系で、どれもディ○ニープリンセスが着ていそうな派手で豪奢なデザインで、店の雰囲気と不釣り合いだと思った。その中で1つ、目を惹かれるものがあった。赤いチェック柄で胸元にベージュ色のリボンが付いた可愛らしいデザインのワンピースだ。それを手に取り生地の質感を確かめながら考える。


この服に合う髪型は、髪を低い位置で二つに緩く結った髪型。赤いリボンをつけても可愛いだろう。服を買うついでに赤いリボンがどこで買えるか店員に聞いてみようと思う。


ちなみに例の服はかなり好みのデザインだったのだが、どこで買えるのだろうか。






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