あなたの側に居させて、

メルオン

第1話 久しぶり、、 

キーンコーンカーンコーン

学校の終わりを告げるチャイムがなった。

朝起きて、学校に行って、授業を受けて、家に帰る。

そんな退屈な日々を過ごしている。


カバンを持ち上げて帰ろうとしたそのとき


「よくぼっちで学校来れるねw」


そんなアニメのキャラが言いそうなセリフを吐く。いつも4人組で私に突っかかってくる。まだ高校生になってまだ2週間だぞ。入学式の頃から狙っていたらしい。暇人かよ。そんな暇人のこいつは、いじめの主犯格の梨花。それに便乗するように他の3人もそれぞれ


「それな〜w w」とか「私なら無理だわ〜w w」と。


「おーい梨花ー今からカラオケ行こうぜー」


クラスのドアの前で他クラスの男子が言っている


「今いくー」

 

「ドンッ!」


私は、梨花に押し倒されたその衝撃で後ろの机に当たってしまった。


「あまり調子に乗らないことね」


梨花は、私の耳元でそんなセリフを吐き捨てた。

私はズレた机を戻しながら


「はぁぁぁっ」


とため息をつく。帰ろうとしたが私にはいつもの日課がある


「コツコツコツコツ」


屋上に向かう足音が誰もいない空間に響く。

赤い字で立ち入り禁止と書かれた看板を無視して扉を開けた。

「キィィィィ」と甲高い音を出す。

壊れているからなのかわからないが、扉は簡単に開いてしまう。

屋上に出ると雲ひとつない青空が広がっている。

フェンスに掴まり、下を見てみると桜の木がありグラウンドで野球部とサッカー部が練習している。

いつも、帰る前にここに来る。

いつもならこの青空に飛び込む勇気がない。

でも今日ならできる。確証はないがなんとなくそんな気がする。



私はいつも通り飛び降りようとして、フェンスを登っていたとき、


「グイッ」


私は、後ろに引っ張られた。フェンスから落ちた。私は一瞬戸惑ったが途端に涙が込み上げてきた。


「やめて!離して!もう死なせて!!」


私は、暴れ泣きながら抵抗した。だが相手は男のようだ。どれだけ抵抗しても手を振り解けない


「やめろ!暴れるな!落ち着け!!」


私はその声を聞いた瞬間その男が分かった。


「湊?」


私は泣きながらそう聞いた。


「安心しろ、落ち着け。深呼吸してリラックスしろ」


私は湊にそう言われ近くにあった古びた椅子に腰掛けた。

二人の間に沈黙が続いた。その沈黙を壊すように湊が口を開いた。


「なんで死のうなんて考えたの?」


「湊には関係ないでしょ」


「あっそ」


湊の返事はなんか素っ気なかった


「お前が何を思ってそう考えたのかは知らないが、死ぬならまた今度でいいんじゃね?未練残したまんまじゃ成仏できないだろうし、やりたいことしてからでいいじゃん。」


「そんな無責任な事言わないで!!私は湊じゃないんだよ、湊に私の辛さなんてわかんないよ!!」


私はそんなことを言ってしまった、私は逃げるようにその場を立ち去った。

全力で走り家に着いた私は着替えてベットに横たわり湊が言っていた事を思い出した


「やりたいことね、」


そんなこと言われても私はまるで何も思いつかなかった、湊はかっこいいし、背も高い、勉強もできる。おまけに人がいいから湊には彼女もいるだろう。だから湊はやりたいことがたくさんあるのだろう、だからあんなことが言えるんだ、私はそんなことを考えてたら、イライラと同時に眠くなってしまった。


「明日も学校か、」


そんな憂鬱なことを考えながら眠りについた。

明日は湊に会わないと良いな、、、








 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る