体力皆無・精神力クソ雑魚の俺。【長距離走】でダウンして、目覚めたら異世界の傭兵になっていた。

@CH_wnlv2249

【一話】地獄の体育と俺の体力

「うわぁ、四時間目体育長距離走やんけ。まじでやだわぁ。」


「それなww水泳も嫌だけど持久走に敵う嫌な種目は無いわ。」


「もう授業やったクラスの友達から聞いたけどバリきついって。最初は3~5キロだったかな。まじで走りたくねぇwww」


「女子だけ距離短いのがちで不満なんやけどw」


「女装して走る距離誤魔化せねぇかなwwwww」


「お前やれよwww」



朝から四時間目の不満の声が教室全体へと響いてた。

誰もが好んでする種目ではない持久走。

冬場の体育の過程では必ず通る地獄の時間。



(お前ら嫌々言うけど運動部やんけ‥‥‥‥‥。どうせ一番二番でゴールするんやろ‥‥‥。)



持久走を愚痴る友達がいない俺は、一人心の中で不満をぶちまけるしかなかった。


なんやかんやで授業と休み時間を繰り返していると、あっという間に体育の時間だ。



「今日はタイムトライアルだから、単元の最後に計測するときのための基準となるペースで走ることを目標になー。」


『最悪だ‥‥‥』

(ここでもう心臓がばくばくしてんだぞ......。無駄に心拍数早くするなよ俺......。)



「よーい、_____パンッ」



皆が勢いよくスタートを切り出した。サッカー部と野球部が張り合うように先陣を切り、砂埃が軽く舞う。



(あ.........、一周なのにもう疲れてるのに10周以上走んの........。無理かも..。)



5周半当たりから皆のペースが多少ばかり落ちてきたように感じる。


俺も、例外なく。



「ナイスランファイトー」


「はぁ、まじ、一着」



運動部は次々と走りきる中、俺はあと2周____。



(ああ、やばい息が。視界が揺れて..................)




ドサッ






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「おおい、大丈夫か。しばし目を覚まさなかったんだぞ。」


『そうだ、俺持久走でぶっ倒れて.......せんせ____』



..............は?



『えっ.......いや誰!?!?........ですか。』


「俺はここの宿の長だけどよぉ。お前さん連れてきた奴はもう都市に行っちまったよ。」



宿........え?保健室は?先生じゃない。

先生は今年30の年でわりかし若めだ。なのに、白髪、白ヒゲ、海賊みたいな強面な男が今俺の前にいる。



『俺、なんでここにいるんですか。』


「はぁ?俺が聞きてぇよ。」


『アッ、スミマセン』


「でも、お前連れてきた奴がそこの通りに落ちてたって行ってたぞ。俺も最初どうしていいか分かんねえって感じだったけどよ、あまりにもお前が死んでるみたいな面してるもんで。それにそいつが泊まりの金は前払してくれたこともあってここに入れたんだ。」


『まじですか................。』


「もう料金分過ぎてんだけどよぉ........体調戻ってんなら早く部屋開けろよ?」


『すみません、すぐ出ます。』



どこだよどこだよどこだよ!?!?


なんで俺がこんな絵本で見るような街にいるんだよ!!


持久走は!?


てか今テスト期間だから提出物やんなきゃなのにさぁ!!?



なんでいま__________バタッ




『痛っ!!』



レンガの床目掛けて派手に街の階段ですっころげて五段ほど落ちた。



「随分と元気が有り余ってるねぇ。一昨日はぱたりと死んでたのにさ。」



最悪だよ......、恥ずかしい。階段下の奴に見られてた......。



『いやぁ、お恥ずかしい____ってええ?一昨日....?』


『もしかして、俺を宿に置いてってくれた方ですか?』


「そうだよ、金も払った。金もね。」



レザーの上着を袖を通さずに肩にかけ、黒い多機能なポケットのたくさんついたズボンにコツコツと音を立てるブーツ。紺色のセンター分けが風邪にひゅうと揉まれる。



『お金払います!悪いんで!!』


「そう?ありがとう。」


『............あ。』


『俺今手持ちが無くて.......すみませんした。』


「知ってるよ、ポッケ漁ったもん。」



さりげなくすごいことを告白されたような気もしたが今は俺の方が下に出るべきだ。



『どうしたらいいでしょうか........?』


「あそこの宿高かったなぁ~~。」



う゛っ、こいつ。性格が悪いんか........。助けてもらう人を間違えたような気もする。



『なんでもしますんで.......』


「うっしゃぁ、待ってました。その言葉!」


『は___』







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