第23話

ン?



こじゅ様も電話くれたの?



鳴ってないんですけど?



「あ…『ご飯も食べてないんでしょ!?てか、あんたが帰ってこないとあたしらも食べられないじゃない!!』」



「う…『迷子か!?迷子なんだろうがっ!!』」




こじゅ様凄いな!!

なんでわかるのですか!?



「そ…『迷子!?迷子になるって、どこ走ってんのよ!?』」



「の…『アホだな。ホレ場所を言え。仕方ねぇから俺が迎えに…』」




ブチリ。



「…良いのか?まだ何か喋ってたぞ?」



「良いんです」




心配そうに聞いてくれる成実様に、ニッコリ。



喋らせてもらえないのだから良いのです。



しかし帰らねば…。

帰らねば…。



でも………。



折角、折角やっと逢えたのに……。



このまま別れるなんて嫌だっっ!!



名前を…

連絡先を…



聞きたいっっ!!



いや、でもさっきの失敗が……。



あの拒絶された瞳が…怖い…。




「…迷子なのか?あんた」


「ほっ!?」




さっきの電話の内容が聞かれていたらしく、成実様がポツリ。




「あっハイ!!ちょっと!!そのっっあのっっです!!」




テンパリました。

説明にさえなってないですね。




「ん。じゃあ送ってく」



「ハイ!!……………え!?」


「お礼。ご飯の」




ガシガシ頭を掻いて、目を反らす成実様。




「良いんですか!?」



「面倒だけど…」



え!?




「…………嬉しかったから」



ズッキューーーン!!




やったぁぁぁぁぁぁ!!



良くやった、何十分か前の私!!




「あっでは!!お願いしま……」

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