第10話
そこで夢が途切れ、眠りが浅くなるも、目は開かず、夢うつつの状態の私は。
「泣くんじゃねぇよ」
泣く?
誰が?
「記憶なんて、持って生まれなければよかったんだ」
記憶…………………を?
どうし………………………
「いい加減"俺"を見ろ」
????????
「お前は勘違いしてるが、俺は……」
……………………。
その後の言葉は続くことがなく、頬に何かが触れる。
そして、オデコに温かく柔らかな感触。
小さな頃から、私が夢を成実様の夢を見た後には必ず、優しい声と共に訪れるソレ。
不思議とその後は夢も見ずに、グッスリ寝れる。
「……ぁ…りが……と」
誰かはわからない。
夢の続きなのかもしれない。
それでもお礼が言いたくて。
きちんと言えたか自信はなかったけど、その人が微笑む気配。
ああ。
良かった。
伝わった。
「成実なんかに、負けねえからな」
それは無理ですね。
へっと笑えば。
「笑うんじゃねぇよ」
と、少し怒ったように言われ、またオデコに温かく柔らかなものを感じ、今度こそ私は深く眠りについた。
「なんて不器用なやつ…」
「うぉっっ!?!?」
「静かに、桜が起きる」
「すんません…」
「バーカ」
「………」
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