序幕

願い

第1話

伊達成実は不死である。


そんな噂がある。




それは、成実に絶対なる守護者がいたから。



でも、もうそれも…。




「ごほっ!!」




咳き込めば、大量の血が己の口から吐き出される。




「桜!!桜!!」




名を呼ばれるも返事は出来ない。



目も霞み、愛しい人の顔さえ見えない。




ああ……。



どうか悲しまないで。



成実様。



我が主。




人を殺しすぎたあたしには、出来すぎた最期。



貴方様を守って死ねるのだ。



本望。




告げられなかった想いも、貴方様の悲しみも全部あたしが持って逝く。




「俺をおいて逝くな!!桜!!」




頬に温かいものが幾つも落ちてくるけど、それがなんなのかはもうわからない。




「……生き…て」



「桜!!あの世で待ってろ!!必ず、俺も…」




そうですね。


ここではない世界で、時間(どこか)で、出逢うことが出来たのなら…またお側において下さいね。



そして、この想いも…。














成実様―――――――。

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