センパイの金魚
入江弥彦
困っていても好き
センパイは、困っている顔も美しかった。
「付き合ってくれたら、見逃します」
ギュッと眉を寄せて小さく下唇を噛んでいる。大量に置かれた金魚の水槽から聞こえるゴボゴボという空気の音が沈黙をより深くしていた。
「なんで知ってるの」
彼女から絞り出された小さな声が悲鳴のように聞こえて、少しだけ良心が痛む。
人より少し高めな声が可愛らしい。
「見てたからですかね」
俺がセンパイのことを。
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