血脈相承のオドゥムリヒト ―約束の地に眠る陰陽―

@Kurenai011

第1話 巫女に従う黒い蝶

『血脈相承のオドゥムリヒト ―約束の地に眠る陰陽―』


         けちみゃくそうじゅう


異なる世界の話




序章「巫女に従う黒い蝶」




 小さい蟻が、ただつぶされるだけかそれとも世界を絶滅に追い込むのか


私の名前は四月一日 椛(わたぬき もみじ)。苗字とは裏腹にエイプリルフールでも嘘がつけない性格なのが、玉に瑕だ。


 朱林寺山。晴天のなかに潜むジメジメとした暗闇の山。


その中にある先祖代々伝わる神社として四月一日神社という名前で何年も暮らしていた。




4月28日…この日19歳を迎える誕生日に一頭の羽が黒い蝶が突然畳の上に止まった。不思議と嫌いな感じはしなかった。そして蝶が倉庫のところに飛んでいき、何かを示すかのような動きをしたから急いで鍵を取りに行き埃まみれの中で紫色に光る刀-護神刀【辿馗刀守】を手に取ると突然黒い蝶が手の甲に乗って血を吸い羽が赤く染まった。そして蝶がこう言った。


「こうかんがえて。『宇宙(そら)に届け、光さす月虹』って」


言われた通りにとりあえず考えた。


(宇宙(そら)に届け、光さす月虹)


すると辺りが赤黒くひかり一瞬のうちに変身が完了した。まるでくノ一のような姿になった。さっきまでロングへアだったのに、気が付いたらポニーテールになっててしかも色もゴールドピンク色になっている。見た目は袴のような黒いワイドパンツで上半身は白いパーカーを肩に掛けていて、その中の服は忍者らしい紫色の服に変身している。この状況に驚いていると突然黒い蝶がまるで幼いしゃべりで話していた。「あなたのしめいはかみにしたがうこと。いわれたとおりにやって。」


「まず、こうとなえるの。」


「こううんのしんぱん...って」


「幸運の審判?」


「こころのなかでねんじればからだがかってにうごくの!」


「じゃあ唱えるよ。」


そう言って心の中で唱えた。


(幸運の審判)


「6が出たけどこれどういうい...」


すると突然体が動き出し、周りにある木が軽く300本近くを破壊し続けた。神社に当たらないようにひたすら祈った。


「ようやく体が止まったんだけど、もうちょっとで神社が壊れそうになったんだけど!?」


「えへへーすごいでしょー このわざは、いちからろくまでのすうじをだしてじぶんをきょうかさせるわざなのー いちはぎゃくによわくなるけど、ろくはつよくなれるの!」


無邪気な声だが、言っていることは全然無邪気じゃない。


「ほかにも『禍福の女神』や『毒薬の弾丸』、『空破眼燃』があるのー!すごいでしょー!」


「そんなに技があるんだ...」


そして唐突に変身が解け、それまでにいた蝶の姿から一瞬にして人間に変わっていた。


「いまからこれをあなたにさずけるの。」


そこには自分の身長を超えるぐらいの大刀を初回特典として授かった。


「しょかいとくてんとして、生命刀『切拓修羅」をプレゼントする!』


やたらと軽いノリで渡された刀の重みは重すぎて地面に突き刺さるぐらい重かったが、特別に神の加護として特別に軽くしてもらった。


「わざわいやしゅらばすらきりひらき、そのひとふりであくてんこうからいっきにはれるくらいつよいかたななの。そしていせかいにいるとあるちょうちょをつかまえてほしいの。」「…?ちょっと待って、急に虫取りをさせようとしてる?でも何の為に?異世界ってどういうこと?全然わからないけど…」


「いせかいにいるちょうちょはわるさをしてるの...でもたいせつなものだからこわしちゃダメだよ。それでねーいせかいにあるでんしょうのまどうしょ、『くろのしんぱんのしょ』をねらってるってじょうほうがはいったなの。」


「いくら使命って言っても突然のことで頭が混乱しているんだけど...それに伝承の魔導書、「黒の審判の書」ってなに?」


あまりに急なことが起きて頭の整理が追い付かないだけ幼いけど少し暗い声で話している蝶の言葉が信じられずに思考を停止したが、右手に持っている武器をみて現実なんだと確信をしてしまった。弱弱しい声でこう質問をした。


「その異世界の生き方ってどんな感じなの...?難しくないよね?」


「とてもかんたんなの!まず、めをとじてぼくのからだをさわればいせかいにいけるの!」急いで異世界に行かせようとしているのか、蝶の羽ばたきが素早くなった気がする。しょうがないから異世界に行ってくるか。と蝶に言った。


「その前に名前って何?」


「なまえわすれた。わからない。」


「じゃあ上羽(アゲハ)って名前に決めていい?」


「あげは...?」


「見た目が蝶だから上羽にしたら綺麗だから?」


「...きにいった。すごいきにいったの!」気に入ってもらってよかった。と思った瞬間に妖しい光が放ちながら上羽がこういった。


「さぁ、あたらしいたびのはじまりなの!」...果たして自分の起こる旅はどうなるのか、幸いか災いかどの選択を取るんだろう。不安になってきた...


「ちなみにぼくはねなくてもかつどうできるの。」

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