キミの理想のメイドになる! ~クラスの美少女とツンデレ幼なじみが、イチャイチャ同棲奉仕をしてくれる~

軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\

第1話 クラス一の美少女が俺の家でメイドをしている!?

 クラスで一番の美少女が部屋にいる。しかも……。


「二条くん。お礼に……わたしがメイドになってご奉仕しますから」


 彼女はメイド服姿だった。ポンキホーテで買ったコスプレ衣装だけれど、銀髪碧眼の美少女が着るととても似合う。

 彼女の名前は神城真夜。誰が見ても可愛くて、成績も優秀で、優しい性格の女の子だ。

 芸能人のように整った顔立ちに、すらりとしたスタイル抜群の身体。サファイアのようなきれいな瞳は優しく輝いている。


 そんな子が自分の部屋……しかも一人暮らしのマンションにいることに、二条廉也は心臓が高鳴るのを感じる。

 真夜は正面から、上目遣いに廉也に迫る。


「二条くんのために、料理でもお掃除でも、お風呂で身体を洗ったりでも……なんでもしますよ!」


「お、お風呂!?」


「だって、わたしは10億円で二条くんのものになったんです」


 そう。神城真夜は10億円で二条廉也の所有物になった。

 クラスメイトの美少女が、自分のものとなり、そして、彼女はメイドとして奉仕するという。

 しかも、真夜はとても嬉しそうだった。


 廉也の耳元で、真夜がささやく。

 

「わたしが……キミの理想のメイドになります」


 廉也は天を仰いだ。


(俺が神城さんの主人!?)


 そもそもこんな事態に陥った原因は、その日の昼に遡る。





 私立海和中学・高等学校。

 名古屋市内では、講文館中高と並ぶ私立の名門校だ。進学実績の面でも、東大・京大・医学部に何十人も合格している超進学校でもある。


 そんな学校でも、高校一年の頃は中だるみになりがちだ。無試験で高校には進学できるし、大学受験は遠い先。

 自由な校風ということもあり、一部の真面目な生徒を除けば、けっこうみんな遊び呆けている。


 昼休みともなれば、廊下はかなり騒がしい。

 多くの生徒が楽しそうに談笑しながら行き交う。


 とはいえ、友達もいないような人間もいるわけで。

 廊下を歩きながら、二条廉也はため息をついた。


(高校生活も始まって数ヶ月。なのに俺ときたら友達もなし彼女もなし)


 外部からの高校受験組は一割程度で、ほとんどが中等部からの内部進学者だ。

 もともと固まった人間関係があるから、廉也のように浮いてしまうと、取り返しがつかなかったりする。


 廉也が孤立しているのは、ひねくれていて引っ込み思案な性格のせいもある。そのぐらいの自覚はあった。

 一方で、家の事情も大きいのも確かだ。


(……二条の家からも逃げ出して今は一人暮らしだし。今日もラノベでも読んで時間を潰すか……)


 廊下の曲がり角に来る。この先が購買で、昼ご飯が買いたかったのだ。

 そこでばったり女子と出くわした。ぶつかりそうになり、廉也は慌てて立ち止まる。


「すみません……あっ」


 相手も驚いた顔をしてフリーズする。その女子はおしゃれにブレザーを着崩している。一目見たら忘れないぐらい可愛い子だった。大きな胸の谷間がちらりと見えて、廉也は慌てて目をそらす。


 実際、男子がクラスの女子人気投票をやったら一位か二位になるだろう。廉也は男子たちがそういうランキング付けをしているのを教室で小耳に挟んだ。


 廉也が参加していないのは、そういう企画がくだらないからとか、女子に嫌われそうだから、なんて理由ではない。友達がいないから声もかけられていないだけだ。


 ともかく、相手は知っている子だ。それはクラスメイトだからだけではない。


「……秋帆」


 廉也は思わず、相手の名前を呼んでしまう。

 火倉秋帆。廉也が小さな頃から、一緒の屋敷で育った友人。いわゆる幼馴染だ。


 けれど、秋帆の反応は冷たかった。目をそらし、小声で言う。


「用がないなら話しかけないで」


 冷たく言って秋帆は立ち去ってしまった。

 はあ、と廉也はため息をつく。


 昔の廉也と秋帆は仲良しだった。いつも一緒にいて、秋帆は「廉也と一緒にいるだけで楽しい!」なんて言ってくれて。

 それが変わってしまったのは中学の頃……。


 考え事をしながら、廉也は廊下を歩く。

 

 ごとり、となにか物音がする。

 同時に、廉也を背後から呼び止める声がする。


「二条くん」


 女の子の声だ。廉也は慌てて振り返った。

 そこにいたのは、銀髪碧眼の美少女だった。


 青い宝石のような瞳がまっすぐに廉也を見つめていて、女神のような柔らかい笑みを浮かべている。

 学校のブレザーは、真夜が着るとまるでアイドルの衣装のようだ。


 神城真夜。クラスで一番可愛いと評判の子だ。好みによるけれど、秋帆よりも可愛いと思う人は多いかもしれない。

 なんといっても、外国系の血が流れているから、その美貌は神秘的だった。

 

 大人びた雰囲気もあいまって、本物のお姫様のようだ。

 廉也はどぎまぎする。


 話しかけられたことなんて、ほとんどなかったと思う。


「な、なに? 神城さん、だよね?」


 真夜はくすりと笑うと、床を指差す。

 床にはメイド服の萌えキャラが描かれたラノベが落ちていた。


「本、落としましたよ」


「あっ! ありがとう……」


 いかにもな萌えラノベなので、廉也は慌てて恥ずかしがる。だが、

 真夜は気にした様子もなく、くすっと笑って。


「それ、面白そうですね!」


「ほんとにそう思う?」


「はい。二条くんって、メイド萌えなんですか?」


 ふふっと真夜が笑う。真夜に見とれ、顔を赤くする廉也


「同じクラスですよね。一度話してみたかったんです。いつも一人で本読んでるから気になっちゃって」


「ぼっちで悪かったね」


「悪いなんて言っていませんよ。一人で楽しく時間を過ごせることも素敵なことじゃないですか」


「変わってるね。そんなふうに言うのは、神城さんが初めてだ」


「変わってるっていうのは、よく言われます。天然とかポンコツとか言われますけど、失礼しちゃいますよね」


 くすくすっと笑い、真夜は手をひらひらとさせる。


「それじゃ、二条くん。その小説、読み終わったら貸してくださいね!」


(神城さん……良い子だなあ。まあ、俺とは縁がないだろうけど)


 ところが――。

 彼女が廉也の家に転がり込み、何でもしてくれるメイドになるとは思いもしなかった。






<あとがき>

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