第25話 姉妹のために試験を頑張ろう

ゴールデンウィークが終わりまた日常に。


GWの残りは、新しくできたグループラインで会話したり、ゲームしたりしていた。


ボーリングで精神的に満足したので、心置きなくゲームができたぜ。

ゲームは無課金でやる派なので、一生懸命、原石を集められた。

これで、無事に水属性の最強アタッカーを手にいれられそうだ。

超絶にどうでもよかったな。



クラスでは、高安と森さんはいつものスタイルに戻っていた。

もしかして、『ボーリングは夢なのでは?』とも疑ったが、グループラインが存在するので、リアルにあった出来事であろう。



学校では、姉のいじりは少なかった。

きっとあれはそういう時期だったのだろう。


まあ、ラインとかでは、若干エロい系のいじりが多いが。


別に嫌ってわけではないがな。

全然嫌ではないが。


姉は妹とは異なり、意識下ネタ製造機なんだなと思った。



久々に図書室に向かった。


妹の方はいつも通りにやって来た。


手を振って来たので、ビクビクしながらも、振り返しといた。


「おひさだね! GW楽しかった?」

「まあまあかな。そっちは?」

「勉強と撮影でクタクタだよーー」

「大変だな」

「今度見せるね!写真!」

「素人ぽいやつか」

「また泣くよ??」

「嘘です。やめてください」


期間が空いたが、前と変わらず会話はできた。


「てか、もうすぐ中間試験だね。中間テストの前って図書室くる?」

「そのつもりだったんだけど……来ないほうがいい? 」


あれ。俺なんかしたか?

突然、妹との距離が……


「ああ!知らないのか!テスト期間には図書室が混み始めるんだよ……。だから私は教室にいると思う……そのほうが勉強できるし……」


そういう理由か。

びっくりした。


「そうだったのか。じゃあ、俺も、教室で本読むか」

「じゃあ……テスト終わったらまた来る??」

「嫌じゃなきゃ行くよ」

「うん!!じゃあ、テストまで勉強頑張る!」



それにしてもこの学校はクソだな。


図書室は静かに勉強するところなんだぞ?

俺たちの会話の時間を奪うなよ。


全く。これだから陽キャ集団は。


あれ。

矛盾しているような。


まあ、いいか。



妹の勉強の実力はよくわからないが、努力をしている姿は心から尊敬する。


勉強の合間合間、今日も長い足がよく当たる。


ちょっと子供みたいに軽く蹴ってきて笑っている。


そっちはイタズラ半分かもしれないが、興奮してしまうからやめてほしいものだ。




『3人で勉強しようぜ!!』と須子が放課後に誘ってきた。


別に暇だったから、行くことにした。


図書室とかカフェとか行くのかなと思ったが、普通にうるさいハンバーガーショップだった。


勉強を口実にグダるやつか。


まあ、一度はやってみたかった。


俺らは3階でやることにした

ひと足先に、俺は2階にあるレジで注文を済ませることにした。


レジの近くには、クラスのモブどもの女子たちもいた。


品のないデカい声で話ているため、会話が丸聞こえだ。


俺に気がついているのか、気がついてないのか。


「そう言えば、月城と早乙女さんって仲良いよねー。なんでだろ?」

「あれなんだよ。きっと月城は金持ちとかなんだよ。それで、金目当てなんだって。ああいうモデルやってる早乙女さんみたいな人は、結局金なんだって! じゃなきゃ、よくわからない陰キャと話さないでしょ」

「ウける!! 」

「だってそうでしょ? 月城って、確かに足は早いかもしれないけど、頭は悪いんじゃない? 前にどこの学校かは知らないけど、いいとこなら付いてけなくて退学して、悪いとこなら、やっとうちらと同じレベルってことでしょ?」

「バカで足速いだけって小学生じゃん!」


おばさん同士のようなゲスい会話を聞いてしまった。


この程度のことは日常茶飯事だったので、特になんとも思わないのだが。


正直、モブどもがいう通り、なんで、早乙女姉妹が俺と仲良くしてくれるのかは疑問だ。


ただ、姉妹が、俺のせいで、勝手に嫌なイメージがつくのは、とても不愉快だ。


もっとも、このようなモブの意見は誰も聞かないと思うが、他の人も多かれ少なかれそのような意見を持っているかもしれない。


そして、仮に俺の出自がバレてしまうと、本当に金目当てみたいになってしまう。


それはそれで姉妹に迷惑がかかっってしまうな。


少し、テストを頑張ってみるか。


ただ、良い点を取りすぎても困る。


仮に1位を取ると、陰キャの場合キモがられるという謎の法則があるからな。


一番キモがられるのは勉強のできない陰キャ。


2番目が1位のインキャだ。


フツメンだと勉強できることは加点事由なのだが、なぜか1位だと、陽キャによる嫉妬心からか、男女問わずからキモがられるのである。


今回は、無難な、学年10位くらいを目指したいところではある。


陰キャらしく、そして陰キャすぎない順位だ。


もちろんこの学校のレベルはよくわからない。


問題は初めてである。


調整できるかわからないが、おそらく大丈夫であろう。


テストは人の目線を気にせずできるから良いのである



俺は男子3人で勉強会的なことをした。


と言っても、結局須子の話を聞く感じだったが


『勉強しに行こう』は、やはり勉強しないやつだった。


まあ、こういうのも大事だ。


高安と数井さんも個人ラインを始めたらしいので、その展開も楽しみだ。


2時間くらいの、雑談 兼 勉強は楽しかった。



ちょうど家に帰った頃、姉の方から電話が来た。


おそらく間違い電話だと思うので、ガン無視していた。


メッセージでも、『今忙しい?』とか来たので、さっきのは間違い電話ではなかったようだ。


いやいや。電話はしたことないんですけど……


あ、あったか。姉の携帯で妹呼び出した時に。

あれは緊急だったし……


『暇だよ』と送ったところ、もう一度電話かかってきた。


とならければいけない感じだよな……


「もしも〜し! 月城くん?」

「もしもし……。 どうしたの?」

「ちょと、中間テストの勉強と課題で聞きたいことがあって〜」

「教えられるとは限らないぞ。妹に聞けば良くないか?」

「深月ちゃん頑張っているから聞きにくくて……」

「ああ。それなら仕方ないか」

「てか、課題終わってるの〜?」

「俺は意外にも、ちゃんと終わらせているよ」

「意外じゃないよ 頭良さそうだし!!」


絶対、『お前みたいな陰キャは暇だもんな〜』てことだ……

大体、『頭良さそう』ってのは、お前陰キャだもんなと遠回しにいう時に使う常套手段。


「そ、そうですな」

「いや。真剣に。勉強も得意そうだなって思ってる」

「まあ、試験は体育よりは大丈夫な方だ。みんな、テスト用紙に視線向かってて注目されないから。正直怖いのは、試験監督の目線とかだけどな」

「確かに、試験監督は視線向けてくるもんね!!」

「テスト中は眠くないの?」

「もうなんとか耐えるしかないよね……」

「本当に大変だな。で、どの問題?」


聞いてきたところはそこまで難しくなかったので、電話で教えられた。


質問もひと段落したところで、

「あ、そうだ! ねえ、何でか知っている? 数学の平均点が低い理由! 毎回30点くらいなんだよ〜〜」

「普通に計算が苦手な人が多いからだろ?」

「それもそうなんだけどね。ただ、数学の先生、最後に独自の問題を出すんだよ……。それが、100点中70点も占めるの。たまに授業範囲外からも出るから大変なんだよね……」

「結構、無謀なテストだな……」

「独自の問題できちんと取らないと結構つむんだよね…」

「その独自問題は、難しいの?」

「でも、上位の人は結構当ててくるよ。 だから、しっかり当てないとダメなんだよね……」

「そうなのか。怖そうだな……」

「でも、月城くんなら大丈夫だよね?」

「なんで俺を過大評価するのだ……プレッシャーをかけるでないぞ……」


俺は、姉のために高得点を取ろうと思っているのに……


まあ、テストなら大丈夫か。


この学校のことでも、まだまだ知らないことがあったな。

姉妹にいろいろと情報をもらえるのはありがたい。


昔の俺なら、教室が変わっても誰からも教えてもらえず、授業に参加できないこともあったしな。



それから、テスト期間は家に帰ると姉の方と電話をしながらテスト勉強をした。

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