第23話 1軍女子 vs 陰キャ男子
「ど、どうも……」
完全な偶然だ!!
「え〜〜〜すごい偶然だね〜!! わたし達もみんなで遊びに来たんだよ!!」
姉の方はいつもよりハイテンションな気がする。
よく見ると、もう一人の元ヤン風は、数井ではないか。
最後の一人はどっかで見たような気がするが、よくわからない。
顔は、早乙女姉妹とは異なりアイドルによくいる可愛い系だ。
しかも、胸が早乙女姉妹よりでかい。
女子の交流はいろいろあるというし、学校のどこかですれ違ったことがあるのかもしれないな。
俺ら男子3人は一応、数井に会釈をした。
数井は俺らを一通り見て、軽く会釈したあと、姉の方にヒソヒソと話して、椅子に座ってしまった。
しかも、ピンの方を見て、こっちに目を合わせない。
数井のことだ。
『最悪なんだけど〜』とか『キモすぎとか』と言ったと容易に想像がつく。
姉の方が、俺の隣に座ってきた。
わかっているよ。
姉の方は優しいけど、友達優先だ。
『できる限り早く帰ってくれない?』とかであろう。
「ね〜ね〜。 あの髪結んでいる子、誰?」
やはり、姉の方も、イケメンには敵わなかったというわけか。
ちょっと寂しい気持ちもあるが、仕方ない。
もしかして、これ、俺だけ帰らせられるやつかな……
せめて、須子も一緒にしてくれ……
「あ、あいつは高安だよ。 俺も今日初めて見て、びっくりした」
「……!? 嘘〜!? 言われて見れば、骨格はそうか! すごい変わりようだね!」
「そうだよな」
これが、ギャップ萌えというやつか……
「りおがタイプなんだって!」
りおって誰だ。
ああ。確か、数井りお だった気がする。
え、さっきの、もしかして、そーいうこと?
「コソコソ話してたのって……」
「うん。タイプの子がいて、どうしていいかわからないみたい。 意外でしょ?」
ちょっと安心している俺がいた。
「ちょっと意外だ。てか、もう一人って、他クラスの子?」
「本当に誰かわかっていない感じ?」
「……うん」
「言われてみれば高安くんみたいなものか〜〜!!あれ香織! 森 香織だよ! 同じクラスの!」
「!? ……マジ?」
「学校とは違うもんね〜〜〜」
「どーも。森さん! 須子です!」
須子は、少しテンション高めで、森さんに話しかけていた。
どうやら、わかっていたようだ。
「わかっているよん! スコスコ奇遇だね〜ん!」
えーーーーーーー。
学校では無口なのに、何それーーーー。
森さんは学校とは異なり、本当にアイドルのような話し方だ。
「どうやら須子くんはわかってたみたいだね〜〜」
「まあ、あいつはそういうやつか」
言えねー。
絶対おっぱいで覚えてただろーから、そんなこと言えねー。
「でも、わかると思ったのにな〜。だってあんなに大きいのは、男の子なら印象残るでしょ?」
え? 何言っているんだ?
Gカップのことか?
身長は156センチくらいだから、身長は大きくはないよな?
「な、なんのお話か、わ、わかりかねますな……」
「おっぱい好きじゃないの?」
『おっぱい』っていったよ?
え? 聞き間違いか?
「き、嫌いではない……」
この答え方が今できる最大の回答だ。
「やっぱり、大きい方がいいの?」
「お、おきすぎても…あれだろ…」
「わたしくらいなのは?」
え。どしたの。
俺なんかした?
体育祭で家まで運んだ親切したよね? そのご褒美?
それにしてはご褒美すぎるな。浮かれるな。
ちょっとS気質が進化しただけだな。
そういう時期か。知らないけど。
「……いいんじゃないですか? よくわからないですけど……」
「やった〜! 何カップか知りたい?」
「……大丈夫です」
妹がバラしていたからな……
「あ、ツッキーに高安くんじゃん! よろ〜〜」
森さんが、俺らに気がつき声をかけてくれた。
なんだよ『ツッキー』て。
キャラが違いすぎて、さすがに笑ってしまった。
「あ、…ども」と俺は、軽く笑いながら会釈した。
それにしても、森さんはイケメン高安を見破ったぞ?
そういえば、森さんと高安は席が隣か。
それに学校ではキャラ違う者同士、何かわかるところがあるのかもしれない。
ただ、あだ名はつけてやれよ。難しいけど。
高いのか、安いのか、わからないけどさ
『やすやす』か『たかたか』で悩むけどさ。
「あ〜ニヤついている。わたしがここにいるのに……。そんなにツッキーて呼んで欲しいの?」
「いやニヤついてないし、呼ばなくて大丈夫。 それにしても、随分キャラ違くない? 学校だと結構無口というか」
「まあ、そうかもね。 香織は、ちょっとしたネットの配信者なんだけど、バレたら厄介だからね」
「そ、そうだったのか……。ん? てか、それ言っちゃダメじゃね?」
「多分、香織もこの3人なら言わないって思っているでしょ! だからあの感じで話しているし!」
「そんなものなのか」
陰キャであることを遠回しに指摘された気がするが、気にしないでおこう。
みんなが揃ったところで、姉の方が、「せっかくだから、一緒にボーリングで遊ばない?」と提案した。
須子は瞬時に「やります!!」と元気よく返事をした。
クラスメイトだしそうなるのか……。
それに隣のレーンだしな……
姉の方は優しいけど、流石にあれだろ。
無理だろ。
そんなのサバサバしている数井が反対するに決まって……?
あれ?
でも、数井は高安とやりたい可能性があるのか??
数井、いや、今までは心の中で呼び捨てにしていたが、今後は関わるかもしれないから、さん付けにしよう。
数井さんが反対しなければ、結構ありなんじゃね?
MVPは高安。お前だ。
「いいよ〜ん!!」
「賛成」
森さんも数井さんも賛成してくれた。
「俺も皆さんが良いなら」
「オレも大丈夫っす」
と言うことで一緒にやることが可決された。
まあ、一緒にやるって言ってもあれか。
隣同士で少し話ながらやるだけか。
そう思っていると、偶然にも、もう一つ隣のレーンが終わった。
何を思ったか、姉の方が「せっかくだからあそこのレーンを使わせてもらおうよ!!」と提案した。
「じゃあ、聞いてくるよ〜ん!」と森さんが受付に頼みに行ってくれた。
俺的には、混雑状況で貸してくれないと思ったが、普通に貸してもらえたらしい。
受付はバイトの男子大学生だった。
うん。俺は気持ちわかるぞ。
絶対後で上司に怒られるだろうが、上司も男なら許してくれるだろう。
と言うことで3つのレーンを使うことになった。
これあれだよな?
2人ずつとかだよな?
オレだけぼっちって訳ではないよな……
女子みんな高安とやりたいとか?
ジャンケンとかでテキトーに分かれるのかな?
「せっかくだから、男女で組もうよ〜〜!!」とまたしても姉の方が提案した。
須子はニヤニヤして喜んでいる様子だ。
個人的には、姉以外だと話したことないので、結構焦っている。
まあ、数井さんは高安とペアになるだろうけど。
森さんとペアになる可能性もあるし。
どのようなペアになるかわからず、男子が犬のようにおとなしく待っていると、女子たちは軽く会話をしてペアが決まった。
俺と姉
須子と森さん
高安と数井さんというペアができた。
俺らは一番端のレーンを選んだ。
端から、俺、須子、高安ペアとなった。
クラスの1軍女子と底辺男子組が遊ぶことになったのだが、本当に大丈夫なのか?
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