第2話 恋

空は、明るくて誰とでも友達になれるタイプの男の子だ…

女の子とも、よく話をしているし、話し掛けられることも多い。



そんな、空だけど…

席が近いせいか、よく話し掛けてくれた。



「もう、慣れた?」


「うん、学校に来る道は覚えたよ。でも、まだどこに何があるか分からないんだ…」


「そうか…家はどの辺?」


「美容院○○の近く」


「なら、近いスーパーはここだね。コンビニはここ……」



空は、簡単な地図を書いてくれて、色々な場所を教えてくれた。



「徳島くん、ありがとう。また、教えてね」


「ところで、藤本は何のクラブに入るの?」


「うーん…クラブ紹介見て決めようと思う…徳島くんは?」


「俺も、迷ってる。でも運動系がいいかな…」


「そうか…」



その後、クラブ紹介で先輩たちが一生懸命に説明をしてくれた。



舞は、迷っていた…



誰かが、空に話し掛けているのが聞こえてきた。



「徳島、クラブ決めた?どうするの?」


「俺、バトミントンに入ろうと思う」


「バトミントン?マジかー。俺はサッカー部かな…」



空くん、バトミントン部に入るんだ…

バトミントンなら、私にも出来るかも?



「舞、クラブ決めた?」



話し掛けてきたのは、栞だ…



「うん……バトミントンにしようかなって……」


「マジで!?私もバトミントン気になってた。一緒に入ろう?」


「うん、いいよ」



本当の理由は、空がバトミントンにすると聞いたからだったけど、栞には言えなかった。



入部する日…

思った通り、空もバトミントン部に来ていた。

目が合うと…空は舞に笑いかけた…



男子と女子では、顧問の先生も違うし…メニューも違う。

でも、同じ空間でクラブをすることが嬉しかった…



舞は、気が付くと…空のことばかり見ていた。

時々、目が合うと…ドキッとする。

胸がドキドキして…鼓動が周りに聞こえるのではないかと気になるくらい…



空は、目が合うと笑いかけてくれる…

それを見るのが嬉しかった。



空は、優しい人…

きっと、他の子にも優しくて…

他の子と目が合ったとしても、同じように笑いかけるんだろうな…



そうだとしても、もっと仲良くなれたらいいな…



舞は時々、町のことを空に聞いた。

そのくらいしか…話しかける理由がなかったから…

その度に、空は親切に教えてくれる。



こんなふうに…

時々、話すことができて…

クラブで、空の姿が見られたら、それで良かった…



舞は、小学校の時にも気になる子はいた。

でも、こんな風に胸がドキドキしたり…

その子の行動が気になることはなかった。



でも、空と話すとドキドキする。

気が付くと、いつの間にか空を見ている。

どんなに、沢山の生徒がいる中でも、空のことを見つけられる。

空の声に反応してしまう…

空に話し掛けられるだけで、1日が楽しい日になる。



これが恋なのかな…



辞書で「恋」を調べてみた。



【男女の間で好きで、会いたい、いつまでもそばにいたいと思う、満たされない気持ちをを持つこと】



そう書いてあった…



満たされないことが恋なのかな?



今の舞には、分からない…

でも、好きで会いたいという気持ちは分かる…



明日も空に会いたい…

その気持ちに間違いはなかった…



舞は、また明日

いつもの1日が来ると思っていた…


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