第5話 ヘブンカード
キャッシュカードを受け取り、山口の指示通り写真に撮って連絡アプリで送信する。するとすぐに着信があった。
『お疲れ様。受け取ったキャッシュカードを今から話す住所に雑誌の間に挟んで送ってね。面倒だろうけどメモ取ってね。あんまり履歴に住所とか残るとお互いのために良くないからね。じゃ、話すよ。大阪府◯◯市◯◯××-××◯◯営業所留めで送ってね』
「わかりました。今日中に発送します」
『助かるよ。基本的にはこれの繰り返しをやってもらうから、次もよろしくね』
すぐに近所のヘブンイレブンから言われた住所へキャッシュカードを発送した。二日後に受け取ったことの連絡が入り、その後も十回ほど同じ事を繰り返した。何に使うのかは聞いていないが、同じ名義のカードも数枚やり取りした。お金に困って名義を売っているのだろうか。ネット掲示板やDMで名義の売買があることは知っているが、僕はやったことがない。
一ヶ月ほど経つと、本当にバイト代が支払われた。五万と次回用の経費一万円。
『一ヶ月ご苦労様です。斉藤さんは対応が早くて助かったよ。それで、提案なんだけどもっと収入がいいバイトに切り替える気ない?』
「どのくらい貰えますか?」
『最低でも今回と同じ五万は保証するんだけど、やればやるほど増える感じ。頑張れば数十万いけるよ』
数十万!キャッシュカードのやり取りはかなり楽な仕事だったし、多少やることが増えても問題ないと軽く考えていた。
「やります」
『いいね!頑張って一緒に稼ぎましょうか!まずは近くのヘブンに行って適当な名前でヘブンカードを二枚作って欲しいんだけどいいかな?』
「ヘブンカードですか?作ったことないんですけど名前違っても大丈夫なんですか?」
『大丈夫。確認とかされないから、佐藤太郎みたいな感じで作るだけだよ。それを作ったら名前とカード番号を教えてね』
山口との通話を切り、すぐに近くのヘブンへ出かける。お金のためなら行動も迅速なのがゴミクズパチンカスなのだ。
近所のヘブンでヘブンカード二枚を六百円で購入し、適当な名前で登録する。山田孝雄と笹川裕司にしたが名前に意味はない。アパートに戻り山口に登録した名前とカード番号をメッセージで送る。
『じゃぁ、今からそのカードにチャージするからネットのマイページで確認してみて』
通話を切り、しばらくしてからマイページでカード残高を確認すると、山田に二十二万、笹川に二十八万もの大金がチャージされていた。カードに関係のない人物名義のクレジットカードからチャージされていた。
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