最後の恋

これが最後の恋だと決めていた。



僕は

顔も悪いし頭も悪い。

背も低けりゃ運動神経も皆無。


今まで生きてきた中で

一度でも僕が活躍した事なんて無い。


これから先の未来に

求めるモノなんて何もない。


そう、僕は

自分で人生を終える。


なんの取り柄も無い劣性ばかりの僕を産み落とした親を憎んだ事もあった。


けど、

いざ死ぬとなると

少しだけ申し訳ない気もする。


そんな両親に

僕だってやる時はやるんだ

という事をわかってもらいたい。


この後、僕は

人生最初で最期の告白をして

そして消えてなくなるんだ。




「花子さん!ぼ、ぼ、僕、ずっと…ずっと君の事が好きでした!」




言えた。


人間、死ぬ気になればなんでも出来るんだ。

さあ、もうこれで思い残す事は何も無い。


ありがとう花子さん。


野に咲く一輪の花のような

可憐で儚げな君が大好きでした。


さようなら花子さん。




「ありがとう吾郎君。私も…あなたの事がずっと好きでした」




さようなら…?花子さん!?





父さん母さん

僕を産んでくれてありがとう。

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