ラーメンを作る僕ら

 ラーメン。

 なんのこっちゃという感じだが、編んでいる人は分かるかもしれない。

 一度編んだ作品を解いた時に出来る、編み癖のついた糸の事だ。


 編んでしばらくしてから解くと、茹でる前のチャルメラ。

 編んだ直後に解くと、ちょっと茹でたチャルメラ。


 編み始めて結構進み、大分形が見えた所で「コレジャナイ感」が明確になってしまうのは編み物あるあるじゃないだろうか。

 ネックウォーマーなのに首周りがスカスカするとか、段染め毛糸を編んでみたら思っていた色の出方と違ったとか。

 出来上がりがダメならば編む意味は無いので、傷が浅いうちにばーっと解いてしまう。

 そうすると、ラーメンがもしゃっと出来上がるのである。


 さて、このラーメン。

 そのまま毛糸玉に巻き直して、新しいものを編んでも良いっちゃあ良いのだが、あまりにもラーメンだと作品が歪むというか、綺麗な編地にならないので、スチームアイロンを使ってラーメンから糸に戻す。


 やり方は、もしゃっとあるラーメンから少し離して、スチームをブシャーッと吹きかけるのである。アイロンを糸にかけると糸がペタンコになってしまうので、あくまでスチームだけを吹きかける。

 そうすると編みぐせが取れて、ラーメンから晴れて綺麗な糸に戻る。それを少し乾かしてから毛糸玉にして、また新しい作品へと生まれ変わるのだ。


 ちなみに最近作ったラーメンは夫の靴下。かたっぽ靴下ちゃんの時点で全然糸が足りなくて、ラーメンにした。

 針の号数を太くして無事完成。


 ラーメンは作品の再生の一幕なのである。


 ……あと実は、作品をばーっと解く時、ちょっと気持ちいい……よね?

 ラーメン作りながら、「フゥ〜〜!」ってなるの、僕だけ?

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