第12話 馬車の旅

人生初の馬車の旅、スピードは遅いわ、道が悪くて揺れるわ、

尻は痛いわ、二時間おきに休憩するわ、客の為でなく馬の為らしい、


「思っていたのと、違~う‼」


無事に脱出出来たら良い笑い話になるのだろうが、今は笑えないよ~


只今休憩中、まだ頭の中が揺れている。


今の所問題なく進んでいる。と言っても、1度ゴブリンが待ち伏せている、

所があったが事前に分かっていたので、迂回路を探して、

事なきを得ている。


ゴブリンが最弱のモンスターと言っても、モンスターである。


農夫の盗賊より余程危険なのだそうだ。


一匹ならいざ知らず、5匹10匹となると連携して来るので、


モンスター慣れしている、冒険者で無いと対処が難しいそうだ。


馬を休ませて、草を食べさせている間に、

俺たちは馬車隊から少し離れたところで、遅い昼ご飯に、

菓子パンと俺はペットボトルの珈琲、マリーとエメルダはミルクティーだ、

腹ごしらえを終え澄んだ青空に流れる雲をボーっと眺めていると、


バンジョさんが、そろそろ出発する旨を告げにやって来た。


「ヤマダ様これから、出発しようと思いますが、

この先何か障害になる物はあるでしょうか?」


「いえ、障害はありませんね、大丈夫です」


「では、出発いたしましょう」


俺たちが馬車に乗り込むと、馬車隊が動き出した。


日暮れ近くなると、馬車隊は10台の馬車を円形に並べて、中心に、

馬を繋いで野営の準備だ。一夜分の薪を集めてかまどを作り、日が落ちると、

焚火をして、煮たきものや暖を取っていた。


バンジョさんは、俺たちにも豆のスープを進めてきたが、

食事は用意してあると、丁寧にお断りした。


俺はママゾンで買ってあったテントをストレージから取り出して、

野営している端の方に設置した。バンジョさんがこっちに来て、


「ヤマダ様は天幕もお持ちなのですね、驚きました。


さらにアイテムボックス(宝箱)持ちだとは凄いです。


所で今夜の事なのですが、何か異変が起こったら、

知らせていただいて良いでしょうか?」


「はい、了解しました。馬車の外側にモンスター除けの結界を張ったので、

モンスターが入って来る心配はないでしょう、人は自由に行き来出来ますので、


それとテントにも結界を張っていますので、

用事がありましたら、外から声を掛けてください」


「ヤマダ様は、結界を張る事も出来るのですか、凄いですね、


お若いのに、魔導士様だったのですね。

しかし、万一の事も有りますので夜番は立てますので」


「はい、それで良いとおもいます、それと他言無用で」


「はい、承知しております」


「それでは、お先に休ませていただきます」


「はい、ごゆっくりお休みください」


俺達はテントへと入り、外の音は聞こえるが、


内側からの音や光、匂いや煙さえも遮る結界を張った。


リリーの話では、何でも、

この結界は強力なもので、ドラゴンの一撃位なら耐えられるそうだ。


又テントを見えなくする事も出来るらしい、


俺は、ストレージからランタンとママゾンで、買っておいた、

寝袋を出して、いつでも寝れるようにセットした。


「マリー、エメルダ、結界を張ったから装備を外しても大丈夫だよ」


と言って俺もポンチョを脱いで装備を外した。


「「はい、承知致しました」」


二人共装備を外して座った。さすが5人用テントは広くゆったり出来る。


「「タカシ様は結界も張れるのですね、凄いです」」


「他言無用で」


「「はい、承知致しました」」


「じゃあ、晩御飯にしようか、旅先だから大した事はできないけどね」


「「はいっっ!」」


俺はママゾンで、おにぎりを9個と、ペットボトルのお茶3個、


マヨネーズ、タルタルソース、塩コショウ、小皿、フォーク、箸を購入して唐揚げと一緒に、


ストレージから出して、三人の間において配った、


「マリー、エメルダ、にフォークの使い方を教えてあげて」


「はい、タカシ様、

エメルダ、この唐揚げはとても熱いから、手で摘まんではだめよ、


このフォークで刺して、三つの薬味のどれかに付けてから、

ふ~ふ~と冷ましてから、食べるのですよ」


エメルダは視線を唐揚げにロックオンした状態で首を縦に、

ブンブン振っている。


「それと食事を頂く前には、頂きます。と唱和するのですよ」


エメルダは視線をロックオンしたまま、又首を縦に

ブンブンふっている。


あ、エメルダ、あまり首を振らないで、よだれが飛び散っているから、


マリーもしたり顔でよだれたらさないでね。


俺は、おにぎりの袋を取って、小皿の上に置いて行き、準備完了、


「では、頂きます」


「「いただきま~す」」


マリーは福笑いの顔の様に、幸せそうに、


エメルダは泣いたり、福笑いの顔の様になったりで

忙しそうだ。


二人共、夢中で唐揚げを頬張っている。


俺も唐揚げを最初は塩コショウ味で、うん、美味い!


おにぎりは、パリパリの海苔の食感が最高~ママゾンさまさまですわ~!


やっぱりビールが欲しいよね、でも、そこは我慢我慢、


食後、俺はペットボトルの珈琲、


マリーとエメルダは、ペットボトルのミルクティー


を飲みながらしばしくつろいでいた。


「トイレが必要だね~」


「私達は、したくなったら外でしますので、心配ないですよ」


「まあ、そう言う訳にも行かないよね~歯磨きもしたいし~」


俺はそう言うとテントのドームに向かって、食堂のドアを出してみた。

すると、ドームの傾斜に沿ってドアが現れた。


「う~ん、不思議な光景だ。大体開くのかね~これ」


ドアを開けて見ると、ちゃんと開いた。


「う~ん、何故開く?なんとも不思議道具だ、


マリー、食堂のドアを開いたから、


トイレの使い方を教えてあげてくれないかい?」


「はい、タカシ様、承知致しました。


エメルダこっちに来て、トイレの使い方を説明します」


エメルダは、頷くとマリーの後に付いて行った。


暫くして、顔を赤くしたエメルダとマリーが戻って来た。


「どう?エメルダ、トイレの使い方は分かったかい?」


「はい、タカシ様、とっても気持ち良かったです、

もう、癖になちゃいそうです~」


「うん、癖にならないでね、後つかえてたら困るからね」


エメルダは、残念そうに、


「はい、承知致しました」


「後、歯磨きを教えておくので、二人共付いて来て」


「「は~い」」


食堂の洗面所に行き、待っている間にママゾンで、購入しておいた

歯ブラシと歯磨き粉と、お口ガラガラミントミンを、

ストレージから出して、実演してみせた。


「こうして歯を磨いて、水でゆすいで、仕上げに、

ミントミンでもう一度ゆすいで、出来上がり、

飲んじゃだめだよ、じゃあやってみて」


「「は~い」」


「んん、上手に出来たね、これから、朝起きた時と、

夜寝る前にするからね、虫歯の予防と口臭の予防のためにね」


「「は~い」」


「タカシ様、歯磨きとは、口の中がスースーするのですね」


「うん、うん」


「ミント味だからね、二人は今までどうしてたの?」


「歯磨き用の木がありまして、その木の、枝の先をすり潰したもので、

歯を磨いていました。しかし近頃は物資が不足して手に入らなくなったので、

水で口をゆすぐ位ですね」


「うん、うん」


「そうなんだ~何か歯茎に悪そう~これからは、これを使ってね、


マリーのは、インベントリ(無限収納庫)の、マリーの

ボックスに入れておくからね、


エメルダは、アイテムボックス(宝箱)に入れておいて」


「「は~い」」


「それじゃあテントに戻って寝ますか」


「「はいっっ」」


俺たちはテントに戻って、寝袋に入って・・・って


「はいそこ、裸にならない、エメルダ、パンツ履きなさい、


そういう事は危険が無くなってから、順番に、良いですね!


何か異変があった時の為に服は着たままで」


「「ぶぅ~ぶぅ~」」


「ではタカシ様、手をつないで頂けないでしょうか?」


「私もお願い致します」


「良いよ~二人共、春とはいえ、夜は冷えるそうだから、

体を冷やさない様にね」


マリーもエメルダも俺の右腕と左腕を抱きしめて寝袋に

収まった。


「じゃあ、マリー、エメルダ、お休みってもう寝てるし、


まあ、今日も色々あったし、そりゃ疲れてるわな~」


とか、考えている内に、俺の意識も闇の中に溶けて行った。


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