ラブコメデンパガールズバンドライフ

端谷 えむてー

共通シナリオ(プロローグ)

朝の(二次元)女の子との談話

 俺はとある恋愛アドベンチャーゲームのエンディング画面を見ながら途方に暮れていた。

 このようなノベルゲームとやらを遊ぶのはもちろん楽しいのだが、その後にかなりの疲労がくる。長時間流れゆく文字を追いかけていたわけだ。よくよく考えてみれば、この行動は普通に紙に印刷されている小説を読むよりも体力を使うものである。


 最後、主人公とヒロインのキスシーンが表示される。

 Hシーンはない。このゲームはエロゲーではないからな。


 しかし、このようなゲームをプレイしていると画面の中の自分は確かにこの女子を落とし、彼女にしたはずだというのに、ふと現実に視点を変えてみれば、そこには彼女なんていない、というかできたこともない超陰キャな男子がそこにはいるわけだ。


 そうなると、なんか変な気持ちになる……。

 俺は確かに女子に対面で告白されたはず。しかしなぜこのゲームを止めると俺の視界から女子がいなくなるというのだ。

 ここまで精神がバグると結構末期に近いだろう。

 しかし、俺はまだこのゲームのnルートのエンディングしか見られていないのだ。


 俺はここから、このゲームでの様々なIFを見ていくのだ。

 そして、製作者が提示する真実。すなわちはトゥルーエンドをこの目で見るのだ……。


───このゲーム……トゥルーエンドシステム導入しているよな?


 俺は半信半疑になりながらも、もう一度「はじめから」のボタンを押した。


 恋愛アドベンチャーゲームは様々なIFが語られている。

 そのようなシステムは他の媒体での恋愛ではそうそう見ることはない。


 あったとすれば『俺の妹がこんなにかわいいわけがない』でIFストーリーが書かれたことくらいだろうか。多分もう少し例外はある。

 しかし、よくよく考えたら、ここまで複数のヒロインのためにストーリーが着実に描かれているものなんてのはあまりないんじゃないか。

 なんて、一人で思ったりしながら、テキストを読み進める俺なのであった。


───ひとまず、今は現実の自分だとか、媒体での違いだとかで脳を使うよりかは、このゲームに脳の支配を持って行ったほうが吉だろう。

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