第2話
玉木宏似の男とたまーに行っていたパチンコに、その日は何故か行こうと思った。
玉木宏似の男には会いたくないから行った事のない店にした。
久々のパチンコ。
とりあえず空いている所に行き適当な台に座る。
1万円だけ、と決めて打ち出した。
近くでは今にも逝ってしまいそうなヨボヨボのお爺さんが震えながら打っているのを見て、なんともいたたまれない気分になる。
暫くするとそのヨボヨボのお爺さんが大きな音とまばゆい光に包まれていた。
『スーパーラッキー!』
本当に今にも逝ってしまいそう。
大丈夫かしら。心配だわ。
当たったのね。羨ましいわ。
さ、そろそろ私にも当たりがきますように、と煙草に火を点けると、何故か私のすぐ隣に男が着席。
ものすごくガタイのいい男が。
ゴリラみたいな男が。
しかしこのゴリラみたいな男は、こんなガラガラなのに、何故!わざわざ私のピッタリ隣に座るワケ?
イヤガラセ…?
それとも何?
ゴリラだけに野生の勘が働いてその台が出るってわかってるの?
まさかこの私の隣に来て、このゴリラはオスイチ決めちゃうの?
ゴリラのクセに!?
ゴリラなのになんで海物語!?
ああそっか!私の隣に座りたいのね。
老人かオヤジかオバチャンしかいないものね。
どうせ座るなら私みたいな若くて美しいレディの隣がいいものね。
とかなんとか思っているうちに気付けば残り500円…。
サヨナラ諭吉ゴメンネ諭吉、心の中でそう呟きながらもう諦めて帰ろうと思った時だった。
どういうワケか私と隣のゴリラにほぼ同時にリーチがかかったのだ。
私はやけにドキドキした。
残り500円で当たるかしら!?
てか隣のゴリラはさっき来て確かまだ打ち始めたばかりよね!?
私はもう1万も使ってるのよ!
ゴリラみたいなアンタなんかに負けてたまるもんですかッ!
ああ神様!こんなゴリラよりどうか私に微笑んで!
ああん!てか私はなんでこんなにゴリラゴリラ言ってんのよ!?
と思っていたら2人して大当たり!
思わず隣のゴリラと顔を見合わせて笑ってしまった。
その顔はやっぱりゴリラだった。
絶対に負けられない戦い!
このゴリラにはなんとしても勝ってみせる。
私の中でメラメラと燃え上がる闘志。
久々のパチンコは何故かゴリラとの戦いになっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます