千年目 吸血鬼への仲間入り

アイちゃん

千年目 吸血鬼への仲間入り

僕は鈴木ゆうと。普通の中学生。

『ヤバい!遅刻しそう!』

僕はあわてて準備をして家を出ようとした。

でも、ドアを開けたら黒いかべみたいなものがあって出られない。

『何これ...』

その黒いかべの正体は、蚊だった。

何万、いや何十万匹の蚊がかべを作っている。

その蚊が僕に気づいて、こっちに向かって来る。

『うわっ!』

僕は急いでドアをバタンと閉じた。

『母さん、こっち来て!』

「なに?」

『なんか、蚊がいっぱいいて出られないんだ。』

「は?何嘘付いてるのよ。ほら、何もないじゃない。」

母さんはドアを開けてみせた。

本当に何もない。

『え、そんな...』

「はやくしないと遅刻するよ。」

そう言って母さんは、キッチンに戻った。

僕は、

『きっと気のせいだ、気のせいだ』

と自分に言い聞かせながら学校に行った。

――学校――

けっきょく遅刻して学校に行ったら怒られた。

朝の出来事のせいで授業の内容が頭に入ってこない。

――休み時間――

僕はクラスメートに聞いてみることにした。

『今朝変なもの見た人いる?』

「変なものって?」

「見てなーい。」

誰も見てないのか。

「あの、私たぶん見ました...」

クラスで一番目立たない子が言った。

その子は、僕よりも遅刻して学校に来たのだ。

『何を見たのか教えて。』

「蚊でできた黒いかべ...」

『何であんなのが出てきたのか分かる?』

「はい。私、本で読んだことがあるんです。

吸血鬼がこのまちに住んでいるそうです。

その吸血鬼は、蚊を使って子供の血を集めているらしいんです。

そして、千年に一回、みんなが学校につく頃に蚊のかべをまちに放すそうです。

でも、その蚊を見てしまったたら、吸血鬼の仲間にされてしまうらしいんです...」

彼女はていねいに説明してくれた。

僕は、吸血鬼になってしまうのか...

それにしても、なんで彼女はこんなにうれしそうなんだろう。

『まさかもう...』

「そうです。そのまさかです。私はもう吸血鬼になりました。そしてあなたももうすぐですよ...」

僕は意識を失った。

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