アラベスク後宮の和国姫

忍丸/富士見L文庫

プロローグ

 かつて三大陸にまたがって覇を唱えた帝国があった。

 ダリル帝国である。

 栄華を誇った国も、全盛期より百年も下ると腐敗がはびこるようになった。

 王の威光はすたれ、領地は他国に削られていく。再びの栄光を望む者は多くいたが、伝説の王に並ぶ人物は現れず。熟しすぎた果実は地に落ちるのを待つのみ。


 ──そんな時代に流星のごとく登場した皇帝スルタンがいる。


 若き王は斜陽にあった帝国を見事な手腕で復活させた。

 新たな伝説を打ち立てた王のそばには、謎めいた美女がいたという。

 誰よりも遠い地からやってきた奴隷出身のきさき……。

幸運な妾イクバル・ジャリエ〟と呼ばれた彼女は、不思議な魅力で心身共に王を支えた。

 妃には知られざるあだ名がある。

てんひめ〟。


 はたして彼女の正体は──

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