第20話

「アイミ。この前の太郎君っていう子のトレーナーなんやけどな。着て帰ってないよな〜?」

「だって、着て帰ったら、お母さんわかるやん?」

「そうやんなあ…。」

家での確認は、コレで終わり。

確かに。着て帰ってたら、イヤでも、わかる。洗濯物、部屋、すべて、私がみてる。

やっぱりチエちゃんに聞かないと始まらない?よね。

次の日、久々に園庭でチエちゃん親子に会った。

「久しぶり〜✨」

「あ 久しぶり〜😂」

何となく、チエちゃん親子が、よそよそしい。私は、さりげなくトレーナーの話に持っていこうとした。

「なんか、寒くなってきたね😂洗濯物乾かなくなってきて〜😂チエちゃんって、トレーナー沢山持ってるん?いくつあるかわからないくらい沢山あったりして…?」

冗談っぽく言ってみたけど…。

チエちゃんママは、少し呆れた顔をしながら、

「…。

家は、ちゃんと3枚買ったよ。トレーナー少なくて困る事も無いし、洗濯物が間に合わなくて困る事も無い。でも、お下がりでも無いのに人様にあげるほど、沢山持ってるわけでも無いのよ?」

と、言った。

アレアレ?

私は、トレーナー沢山あって

1枚増えたことに気づいてないんじゃない?と、言いたかったのに、チエちゃんママは、私が、洗い替えのトレーナーを、おねだりしてるとでも思ったみたい?

何でそうなる〜?

「家も3枚あるよ〜✨一緒やね♪」

そういうのが、精一杯で、疑われてるトレーナー紛失事件の事は、聞けなくなった。

チエちゃんママが話し始めた。

「そういえば…。アイミちゃん。虚言癖があるみたい。家の子が、いつもフォローしてるみたいなんだけど、気を付けてあげて。」

え。

アイミはそんな子じゃない💦💦

ムカつく😠

でも…。

私は、徐々に、トレーナーを着て帰ったのは、本当はアイミの可能性もある?と、アイミの潔白に自信がなくなってきてた。

周りはみんな口を揃えて、アイミが着て帰ったという。でも、家に無い。

絶対違うと思いたい。

ただ、これ以上、詮索するのも藪蛇なのか?アイミだという証拠も無いけど、アイミではないという証拠も無い。

周りが言うように、終わった事としたほうが良いのだろうか…。

もう、考えすぎて、思考回路がパンクし始めていた。


そうこうしていたら、後ろから担任の先生が声をかけてきた。

「お二人共、バザーの出品物って、バザー出品物箱に入れてくれましたか?お家にあるもの、何でも良いので、持ってきてくださいね♪」

あ。

いろいろありすぎて、忘れてた。

この幼稚園は、バザーの出品物を、職員室前の段ボール(バザー出品物箱)に各自入れるシステム。各ご家庭ひとつ以上入れてほしいと、言われてるのだ。

「わかりました✨

明日、持ってきます。」

私は、そう言って帰った。



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