異世界を滅ぼした勇者ですが、受け入れてくれますか?

茶坊ピエロ

プロローグ

序章

 数年前、突如として行方不明とされていた多くの人間が見つかった。


 神隠しにあった人間が帰ってきたと当時話題になった。

 日本に古くからある言葉の神隠しが使われた理由がある。

 それと言うのも行方不明者が多く見つかったのは日本だけだった。

 

 行方不明者の家族は行方不明者で死んだと思っていた本人が見つかったと喜んでいた。

 家族達は幸福に包まれ幸せに暮らしました、そう簡単にはそうなることはなかった。

 必ずしも行方不明者の家族が行方不明者が帰ってくるの好意的に捉えるとは限らなかったのだ。

 家計が苦しく養うことができない家族もいるが、それよりも大きな問題があった。


 発見された人間は若者が多かったのだが、行方不明になった時期がバラバラ。

 中には行方不明になった兄や姉が自分の子供や孫よりも年下で発見され、受け入れを拒否されたり、明治や大正、それよりも前に行方不明になっていた者までいて、個人情報すらない人間までもいたのだ。


 受け入れを拒否された人間や天涯孤独の人間は、適当な児童養護へと施設に入れられた。


 当時の日本政府はこの事態を行方不明者が見つかっていた程度と甘く見ていたのだ。


 そんな中で事件は起きた。


 発見された行方不明者のほとんどは異世界からの帰還者達は人類とは別次元の力、チート能力を持っていたのだが、現代に帰還してその力を行使して暴動を始める人間が現れた。

 

 暴動のきっかけは遺族が受け入れ拒否をしたから。


 多感な時期に異世界に召喚され、死に物狂いで戦って戻ってきた人間に拒否されて自暴自棄になった人間だった。 

 当時の行方不明者が一斉に入れられた施設はあまり良い環境とは言えず、溜まっていた不満が爆発したのだ。


 それでも日本政府はまだ子供の暴動程度と甘い考えで居たが、事件は激化することで考えを改めることになる。


 事件の鎮圧に出動させられた警官が発砲し、帰還者以外の負傷者が出た。

 幸い暴動を始めた人間が発砲を受けた一般人の治療を行い事なきを得たが、警官が構わず発砲を続けてしまったため、拳銃を握りつぶしてしまった。

 そのため、事件は武装した自衛隊や警察が出動することになった。

 しかし帰還者のチート能力は凄まじく、完全武装した日本の自衛隊や警察がまるで相手にならず全滅した。


 政府は頭を抱えていたが、政治家の親戚に同じく異世界から帰還した人間がおり、チートにはチートをぶつけることで事件は終息した。


 幸か不幸かその事件での死者はゼロ。

 何故不幸なのかというと、その事件で出動した人間達は心を折られてしまい職を辞することになったからだった。

 目の前で発砲した機関銃が効かないところを目のあたりにすれば、それも当然の結果だった。

 自分達は化け物に敵対し、目をつけられてしまったからせめて自衛隊の責任として辞職はさせてくれと。


 この事件を受け、日本政府は帰還者達が徒党を組んで暴れだしたら日本は終わる、暴れずともに他国へと流れて行っても日本は終わると判断を下し、現状放置すること自体が危険だったと考えを改めて重い腰を上げる。


 国家予算の大半を使って施設に行くことになった帰還者達の暮らすための衣食住を保証する施設を建設。


 そして政府は帰還者達の教育をするための学校である神域学園を作った。 


 

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