第20話

私を無理やり階段へ連れてきた正体は

まさかの望月先輩だった。


思いがけない質問をされた事で、

騒ぎの発端がすぐ近くにまで来ていたことに、

全く気が付いていなかった。


半ば強引に連れてこられた場所は、

今はほとんど使われていない校舎の階段だった。


この階段は、生徒達の中では

有名な告白スポットだった。

ただかなり薄暗いこともあり、

その不気味さ故に、失恋の末に

自殺した生徒の幽霊が出ると噂の

心霊スポットでもあった。


まあ、今の私には

そのどちらにも当てはまらない状況ですが。


いや、これはある意味どちらにも

当てはまっている状況なのでは?


遂に、キャパオーバーを迎えた私は

現実逃避をする為に、

訳の分からない脳内会議を繰り広げていた。


そんな中、ジリジリと

先輩に角へ追い込まれていく私。


離れようとしても、

右には先輩の腕、左には壁が。


先輩がゆっくり口を開く。


「昨日の放課後、一緒に歩いてた男は誰? 」


えっ…?


あまりの気まずさから、下を向いていたのに

つい顔を上げてしまった。


近っ…


そこには身をかがめた先輩の真剣な表情があり

あと少しでも動けば先輩の唇が

触れてしまいそうだった。


脳内会議から離脱した私には

心臓が持ちませーん。


「 ねぇ、どうなの? 」


「 えっ、あっ…あっ…と、友達です…」

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