第28話
今回の遠征は東のビートルヒル奪還に向かう。
この世界に住む大きなカブトムシの殻はナイツのボディに使われている。
今はこの素材が足りないらしい。
もし素材が豊富にあれば復元して使えたウォーリアもあったらしい。
そして東には帝国四将がいる為王都は動きを封じられている。
西を奪取した予想外の行動はいつ帝国に伝わってもおかしくはない。
対策を取られる前に出来るだけ都市を奪還するスピードが大事、らしい、
「僕はお留守番だよ、帰ってきた時の為に次の魔装ゴーレムを作っておくよ」
メンテと王様の見送りでハーフエッグが浮び動き出す。
メンテは王都で整備を続ける。
対戦訓練は魔装ゴーレムに乗ったまま行えるようになった為魔装ゴーレムを置くスペースが1つ分開いた。
前回西の都市を奪還する時は大量の資材を積んでハーフエッグを浮かせた結果ホバー用のコアに魔力を込める人の負担が大きくなった。
なので資材は修理用だけにとどめた。
その分のスペースに魔装ゴーレムを1機置ける。
資材はトラックからの補給で賄う事にした。
みんなが遠征に慣れてどんどん改善されている。
移動中は整備工房に騎士が集まり魔装ゴーレムに乗り込んで対戦訓練を行う。
11対1で対戦をするようになると流石に苦戦した。
特に魔法弾をばら撒くように撃たれると中々接近できない。
そして魔法弾の合間にアイスキャットが突撃をしてくる。
今までがヌルゲーすぎたんだ。
プロトナイツはドラゴンの骨と鱗を使い作られるため素材が貴重で加工にも手間がかかるチート機体だ。
対してナイツとウォーリアはカブトムシの素材から作られる量産型だ。
11機を相手にブルーモード無しで勝てればクリア、そういうゲームにしよう。
それに、もしシャトロなら杖無しでも11機相手に勝てる気がする。
僕はまだ技量不足だ。
何度も対戦をしようとしたけど騎士さんが疲れて思うように11対1のゲームを連続で出来ない。
対戦が終わり休憩する。
「お疲れ様です」
「サンもお疲れ様」
「ナリユキさん、どうしてそんなに訓練が出来るんですか? 続けるコツとかありますか?」
「う~ん、ゲームをするように訓練をしている、かな?」
「なるほど、出来るだけ楽しんでゲームのように継続する、参考になります」
「ほんとにゲーム感覚なだけだから。立派じゃないよ」
「ウチのナリユキは一味違うよ!」
「うん、ピュアは黙ってようか」
「私ももっと頑張ります」
「ほどほどにね」
「ナリユキ殿」
「ファインさん? どうしました?」
「あれを見てください」
整備工房に画面が映し出されている。
バウンド1機。
ウォーリア11機。
その後ろにはムカデがいた。
「まだ、都市まで遠いはずですよね?」
「ええ、帝国が待ち伏せをしていたようです。騎士は訓練後で疲れています、どうしたものか」
「一旦止まりましょう。向こうが動くまでもう少し休憩しましょう」
「そう、ですね、それと、出来ればあの魔装ゴーレムを手に入れたいのです」
「ムカデもですか?」
「すべてを出来る限り手に入れたい。動く状態でです」
「出来るだけ手加減パンチで無力化ですね」
「無傷で機体を手に入れられるのはナリユキ殿だけです。お願いします」
ファインさんも出来るかもしれない。
でも、ファインさんは謙遜するからなあ。
「陣形と作戦についても相談したいのです」
「それについては僕の方で考えがあります。ピュアと話をしていた事があって、ファインさん達が前から攻めて……」
僕は自分の考えを説明した。
「……と言うわけです」
「良いと思います。それで行きましょう」
「分かりました」
1時間ほど休憩し魔装ゴーレムで出撃した。
味方の魔装ゴーレムはプロトナイツ1機、アイスキャット1機、白ウォーリア5機、白ウォーリア5機だ。
今回は時間が無くプロトナイツ1機しか持ってこれなかった。
連戦は厳しいだろう。
その代わりにハーフエッグに12ある収納スペースの内プロトナイツで枠を1つしか使っていない為味方の魔装ゴーレムが多い。
平原にお互い12機の魔装ゴーレムが並ぶ。
帝国の魔装ゴーレムが隊長の合図とともに画面を開く。
敵隊長が名乗りを上げた。
『我は帝国四将が一人、マウンテン様の副官! ヤラレイだ!』
『私は騎士隊長ファインだ!』
僕は名乗りを上げない。
帝国は競争をしているからなのか、それとも通信技術が低いせいなのか分からないが情報の伝達に時間がかかる。
僕の事が伝わっていない場合もある。
僕はただ青いラインの入ったナイツ、その程度の認識でいい。
と言うか、僕を狙わないで欲しい。
理想としてはプロトナイツの性能に気づいた時には敵がやられている状態だ。
『いざ、正々堂々と勝負!』
『望むところだ!』
帝国の魔装ゴーレムが真っすぐファインさんのいるナイツ部隊を目指して走って来る。
やりやすい。
こっちの作戦を実行できそうだ。
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