第5話
ウォーリアの背中から人が出て来てサーフボードに乗った。
サーフボードが宙に浮くとホバーしながら逃げていく。
「あれえ、エッグの緊急脱出は無いの?」
『帝国式の魔装ゴーレムに脱出機能は無いよ、その代わりウォーリアを早く作れるんだ』
ウインドベル王国はパイロットの命を重視してコストをかけている。
対してアイアンドラゴン帝国は魔装ゴーレムを作る負荷を減らしているのか。
ウインドベルの考え方の方が好きだな。
帝国は話をする為に魔装ゴーレムの上に画面を発生させていた。
でもこっちは無線通信が出来る。
通信能力はこっちが上か。
『まさか、プロトナイツをこうも操るとは、手の震えが止まりません』
「あ、ファインさん、どうも」
『な! スライムスーツ無しだと!』
『信じられない!』
「あ、帝国のパイロットが逃げる」
『今は逃げる帝国騎士よりもウォーリアの殲滅が優先です!』
ナイツ3体が僕の前に並び杖や剣を前に構える。
『『ナリユキ殿に付き従います!』』
僕は無言で走る。
後ろから3体のナイツが付いてくる。
なんだろう、勘違いが積み重なっている。
戦闘が終わったら話をしよう。
前に進むと街の広場で青いネコ型ロボットがウォーリア4体に押さえつけられていた。
その後ろでは2体のウォーリアが杖を構える。
6体のウォーリアは上に画面を発生させ話をしていた。
『がははは! 裸にひんむけ!』
『中に女が乗っている!』
『このネコ型は戦利品として貰ってやる。コアを引き剥がせ!』
ウォーリアが青いネコの装甲をはぎ取ろうとしている。
戦闘不能にして持ち帰る気か?
青いネコの搭乗者が上に映し出されている。
銀色に少し青が混ざった髪色でサイドテールに髪を束ねている。
紫色の瞳を持つ美少女が四つん這いになってぐらぐらと揺れた。
『はあああああああん!』
美少女のバストが揺れる。
『このままじゃアイスキャットがやられてしまうよ! 飛び込んで殴って!』
「でも、アイスキャットに当ててしまったら」
『それでもいいよ!』
「早く攻撃しよう! シュッシュ!」
ピュアが横でシャドーボクシングをした。
「おりゃあああああ!」
僕は走ってアイスキャットを取り押さえるウォーリア4体に殴りかかった。
まるでボーリングのピンのようにウォーリアとアイスキャットが弾かれた。
『『ぎゃああああああああああ!』』
『はあああああああん!』
パンチは1体にしか当てていないけどみんな吹き飛ばされて衝撃を受けたせいか皆中々立ち上がらない。
僕は素早く立ち上がる。
後ろにいたウォーリア2体が杖を構えて僕に向ける。
『撃て! 撃て!』
『うおおおおおおおおおお!』
2体のウォーリアが魔法弾を乱射した。
プロトナイツの体にバリアを張ると魔法弾がボディに当たった瞬間に掻き消えた。
ヘビのようにうねうねとウェーブするように走って迫り魔法弾を撃つ2機の近くまで接近した。
ウォーリア1体が斧を振りかぶるとその1体めがけてお腹にパンチを食らわせた。
『ぐおおおおおおおお!』
ウォーリアが吹き飛ぶ。
横にいたウォーリアがバックステップを踏みながら杖で魔法弾を乱射する。
『化け物おおおお!』
反復横跳びをしつつ前に走ってガードする斧ごとボディパンチを放つとウォーリアが仰け反る。
更に前に出て頭をパンチするとウォーリアが地面に倒れる。
「せい!」
倒れたウォーリアのお腹にパンチを叩きこむと腹部が光りお腹がぐしゃっと歪んで動きを止めた。
後ろから駆け付けたナイツが残ったウォーリアを倒し全滅させた。
ウォーリアのパイロットはホバーする板に乗って逃げて行った。
でも、何人かは気絶している?
「撃退、完了?」
『いや、逆方向にいるナイツ5体がたった1人の手によって破壊された、敵は赤い』
『黒ではない! 少なくとも隊長機だ!』
「ええ!」
遠くから足音が聞こえた。
『1機、通常の1.5倍の速度で接近して来るよ!』
『アレが、来てしまうのか、ナリユキ殿とアレは戦う運命なのか!』
「え? え? アレ?」
音の方を見ると赤い機体が迫ってくる。
ナイツ3体とアイスキャットは僕に付き従うように斜め後ろに並んだ。
僕が先頭に立ってる!?
僕の10メートルほど前に赤い機体がジャンプして着地した。
赤い機体は右手に斧、左手に杖を持っていた。
でもそのフォルムは細身でトゲトゲしている。
赤い機体の上に画面が出現した。
『お初にお目にかかる。私の名はシャトロ・コメット、帝国四将の一人にして赤い旋風と呼ばれてもいる。その青いラインの入った魔装ゴーレムは新型かね?』
話をしたいとイメージするとプロトナイツの上にも画面が出現した。
「プロトナイツだ」
『プロト、試作機か。名前を聞いてもいいかな?』
「ナリユキ」
『5対1、悪くない。ウインドベル王国の試作機とネコ型か、ぜひとも欲しい』
ファインさんが機体の上に画面を発生させて叫んだ。
『勝った気にならないで貰いたい! 最強の一角と言われる帝国四将よ』
「え?」
四天王みたいなのがいきなり出てきた!
普通最初に強いボスが出てくる!?
おかしいでしょ!?
『プロトナイツには転生者であるナリユキ殿がいるのだ!』
『その奇妙な服装は、なるほど、転生者か』
「え! ちょ!?」
『しかも妖精を従える聖なる者、聖なる者と戦う、となれば部下の士気が下がる。是が非でも潰させてもらおう』
「えええ!」
『このシャトロクリムゾンの力、思い知るがいい』
シャトロクリムゾンが杖を構えた。
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