【悲報】異世界転生したらロボットだけじゃなく夜のベッドで美少女に乗る事になってしまう~この世界はパラディンへのガードが甘すぎる~
ぐうのすけ
第1話
『赤い敵機が1.5倍のスピードで接近しています』
アニメの画面に赤い敵機が颯爽と現れる。
来た来たああああ!
主人公のライバル来たあああ!
僕はスマホ画面に釘付けになった。
アニメはいい、時間を忘れさせてくれる。
ヒロインが赤い敵機にビームを撃つ。
『当たらんよ!』
赤い敵機が華麗な動きでビームを避けてヒロインにタックルをした。
ヒロインが突き飛ばされたその瞬間、アニメの画面がヒロインのアップに切り替わった。
『はあああああああああああああん!』
そのたわわなバストがプルンと揺れた。
バストの揺れには深い意味がある。
ヒロインの攻撃をたやすく躱し攻撃を当てるライバルの技量。
ヒロイン機を吹き飛ばすその衝撃の強さ、つまりライバル機のパワーをバストの揺れで表現している。
主人公が勝てなかったライバルの圧倒的な存在感。
そして今後始まるであろう主人公とライバルの激しい死闘。
バストの大きさと激しい揺れの演出にすべてが詰まっていると言っていいだろう。
僕は無言で動画を10秒巻き戻す。
『はあああああああああああああん!』
いい、ヒロインの声、顔、バストの揺れ、今回は神回だ。
僕は何度も動画を10秒巻き戻した。
『はあああああああああああああん!』
『はあああああああああああああん!』
『はあああああああああああああん!』
『はあああああああああああああん!』
『はあああああああああああああん!』
僕じゃなきゃ見逃してたね。
このバストの揺れ、作画にはかなりの手がかかっている。
アニメを作って下さったスタッフさんに感謝だ。
そして声優さんにも感謝。
『また会ったな、少年』
『く、また、お前か』
『真のエースパイロットはどちらか、決着をつけようではないか』
赤い敵機が華麗に構える。
対峙する主人公の青い機体がガードするように構える。
ここでアニメが終わった。
食べかけのポテチを袋をゆすって飲むように口に流し込む。
そして油っぽくなった口を爽やかなエナジードリンクですっきりさせた。
「ぷはあ、プラモとフィギュア、出たら買うか」
もちろんフィギュアはヒロインのものだけを買う。
衣装をパージ出来るタイプ、出ないかな?
ふと現実に引き戻されむなしくなった。
「寝て起きたら、高校か」
ゲームやアニメ、プラモデルに没頭したい。
勉強したくない。
テストも嫌だ。
学校、だるいな。
『では異世界に行きましょう』
「え?」
スマホの画面を見る。
画面は確かに消してある、消し忘れじゃない。
頭の中に声が響いたような?
疲れているのかな、寝よう。
ベッドに横になり目を閉じた。
ま、まぶしい。
目を開けると真っ青な空が広がっていて床にはきれいなタイルが敷かれそれが見渡す限り広がっていた。
目の前には白い服を着たとてもきれいな女性が立っていた。
「ふふふ、こんばんわ。おはようの方が良いですか?」
「おは、よう、ございます?」
僕はむくりと起き上がった。
上を見上げると日の光が眩しいけど何故か太陽が見当たらない。
これは日の光、なのか?
そして目の前の人は誰?
「ここは天界です、そして私は女神です」
「な! 心が!」
「ええ、読めますよ。異世界に行きましょう」
「ま、まさか僕に! 特別な! 勇者的な凄い力が!」
「ええ、才能だけは有りますよ」
「え? 才能、だけ?」
「いえ、失礼な言い方になってしまいました」
「才能だけって」
「言い間違えました」
そう言いながら女神様が僕からすっと目を逸らした。
「今異世界は危機に瀕しています。このままでは人々の文明が崩壊してしまいます」
「いや、あの、才能だけって」
「こほん、それよりもチートスキルに興味はありますか?」
「あるんですか!?」
「ええ、正確には潜在能力を発揮させるだけですが、チートのようなものです」
「欲しいです!」
僕の体が光ると体を何かが巡っているのを感じた。
これが、魔力か。
「今出来る範囲で魔力の潜在能力を目覚めさせました。簡単に言えば努力のショートカットです。慣れればさらに力を発揮できるでしょう。それと異世界の言語と文字の知識を与えます」
「おお!」
異世界の言葉が分かる。
文字が思い浮かんでくる。
「更に妖精もつけます」
「おおおお!」
周りの空間ごと目の前に妖精が現れる。
でも妖精の様子がおかしい。
「紹介しますね、妖精のピュアです」
「ちょ、ちょっといいですか?」
「何でしょう?」
「あの妖精は何でアニメを見ながらベッドに寝そべってお菓子を食べているんですか?」
ピュアをじっくりと観察する。
大きさはフィギュアのように小さい。
髪は銀色のツインテールで光の反射によって色が変わるダイヤのようだ。
白い服を着ており左右の腰から下にスリットが入っていて丈が短い。
見た目はかなりいい。
でもだ、ベッドの上に食べかすがぼろぼろとこぼれている。
そしてアニメを止める気が一切ない。
それどころか「いけ! そこだ!」と叫んでロボットアニメの世界に没頭している。
「そうですね、あなたとピュアの性格が似ています。簡単に言うと、転生後2人の通じ合う心が奇跡を引き起こします」
女神様が両手を祈るように組んだ。
神聖な雰囲気を醸し出して乗り切ろうとしているように見える。
そもそも僕の事を『才能だけは有りますよ』って言ってた。
それ以前に僕は異世界に行くと言っていない。
なんだろう、女神様の持って行き方に違和感がある。
テレビショッピングの『今ならこの包丁になんと砥石とスライサーをセットして9980円のお値打ち価格でご提供いたします!』『わあ! お買い得ですね!』みたいな、そんな乗り切り方に見える。
「高校1年生、東上成行(トウジョウナリユキ)君」
女神様が急に教師のような言い方で言った。
「口調、変えました?」
「あなたとピュアは似ています」
「い、いや、流石にあそこまで酷くは無いです」
女神様が僕の肩に手を置いた。
女神様のバストがプルンと揺れた。
僕は言い返さずバストを見てしまう。
く、バストに意識を持って行かれてしまう。
大きい。
「見ていましたよ?」
「す、すいません」
「私のバストの事ではありませんと
「何の、話でしょうか?」
「見ていました。さっきまでアニメを見てポテチを口に流し込むように食べてエナジードリンクを決めていましたよね?」
「う! それは!」
「そっくりです、ピュアとあなたはそっくりです」
「く!」
ピュアを見て僕と近い事はすぐに分かった。
アニメ好き。
お菓子を食べてぐうたらしている。
同族嫌悪、なのか?
「では異世界に送ります」
「ちょ、ちょっと待ってください。僕行くと言ってませんけど!?」
そう、行くって言ってないし!
「仕方がありません、異世界の事を教えましょう。異世界は魔装ゴーレム、要するにロボットに乗って戦う剣と魔法の世界です。そういうの、好きでしょう?」
「好きですけど」
「さっき見ていたロボットアニメの主人公のような人生に憧れがあるでしょう?」
「……」
主人公のようにちやほやされて生きていきたい。
何度もそう思った事はある。
でもだ、主人公って嫌な目に合うじゃん?
そういうの嫌だから。
アニメとして見るのはいい、でも僕自身は努力をしたくない。
試練とかそういうのは物語として見てる分には良いよ?
でも僕が食らうとなれば話は別だから。
「更に、異世界の様子をお見せしましょう」
目の前に異世界の映像が映し出された。
あり得ないほど大きなカブトムシが飛び回る。
そして巨大な木に止まり樹液を吸っている。
ファンタジーな世界なのは分かったけど、あのカブトムシ、怖いんですけど?
あんな巨大カブトムシ、その気になれば即殺されると思うんだよなあ。
「異世界で怖いのはカブトムシよりも人です、次は街の様子を映しますね。異世界には年頃の女性が多いです」
みんな白い服を着ていた。
よくローマ人が着ているような露出多めな感じの服だ。
そして巨乳が多い。
いや、皆巨乳だ。
「で、でも、これってきれいな人だけ映してないですか? それに、みんな胸が大きいような」
「これが異世界の標準です」
「なん、だ、と!」
女神様がにこりと笑った。
「私が作った世界なので私によく似ています」
女神様の整いすぎた顔立ち、そして巨乳で腰からお尻にかけてのラインを見て生唾を飲んだ。
「はあ、はあ、で、ですが、じょ、女性に、何か、出来るわけでは、無いでしょう? エッチな事とか、出来ないし!」
「イメージして見ましょう。あなたがエースパイロット、向こうで言う騎士になれば女性たちは皆あなたの元に寄ってきます。向こうの女性は積極的ですよ」
「ごくり」
「更に、魔装ゴーレムのパイロットはハーレム婚も可能です。私のような巨乳はお嫌いですか?」
「バストは、嫌じゃっ! 無いです!!」
「ええ、嫌ではありませんよね?」
「嫌じゃっ! 無いです!!」
「私のような安産型の体型は嫌いですか?」
「嫌じゃっ! 無いです!!」
「私のようなアニメ顔はお嫌いですか?」
「嫌じゃっ! 無いです!!」
「あの映像ですが、服の下には何も着ていません」
「え?」
「白い服の下は裸です」
「な!」
「私も下着は付けない派です」
「ななな!」
「嫌、ですか?」
「嫌じゃっっ! 無い!! です!!!」
「さあ、異世界に旅経つのです! ……ピュア」
「あ、そうだね」
ピュアがパチンと指を鳴らすと体が光ってお菓子の食べかすが消えてきれいになった。
なんだろう?
ピュアが魔法できれいになった。
きれい、でもだからこそ引っかかる。
あの魔法、体はきれいになっても心は怠惰になる気がするんだよなあ。
ピュアの背中から魔法の羽が現れて飛ぶ。
そして僕の肩に乗って座る。
ピュアの生暖かいお尻の感触は悪くない。
「ナリユキ、よろしくね」
耳元で発せられたきれいな声に体がゾクゾクと反応する。
顔を傾けてピュアに目を向けると笑顔で返してくる。
近くで見るその顔はとても整っていた。
「……よろしく」
ピュアが、堕落していると分かっていても可愛い。
「さあ、旅経つのです。勇者ナリユキ」
女神の言葉で僕とピュアが光り空間が歪んだ。
この歪みを見て思った。
あれ?
これって、女神様に丸め込まれてない?
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