クマった青春物語

クマイ一郎

第1話 サボテンからの依頼

 ある冬の穏やかな日、ボクことクマイル・クマイコフ、通称クマイと親友のクロイさん、その弟でオーナーシェフのクロジさんは鎌倉にある自室のリビングで、くつろぎながらコーヒーを飲んでいた。


「今日のコーヒーは、ちょっと味が違いますねぇ…」


 いつものコーヒーと少し味と香りが違う事に気づいたボクがそういうと、クロジさんが目をキラっと輝かせてすぐに答えた。


「うん、いつもキリマンジャロばっかりだから、ちょっとモカに変えてみたんだ。」

「モカも悪くねぇな……」


 そんなゆったりとした時間を過ごしていると、自室のドアが開いて熊子ゆうこちゃんが出てきた。


「あ、あたしもコーヒー貰ってもいい?」

「ちょうどまだ残ってるからさ、熱いから気を付けてね!」


 熊子ちゃんはコーヒーをすすりながら、何気なく話し出した。


「金沢八景に、私が良く行ってるカフェがあるんだけどね……」


 ボクも何となく聞いたことがあるので相槌をうつ。確か、熊子ちゃんの仲間の漫画家とか、イラストレーターよく集まっている店だったと思う。ボクは行ったことが無いがコーヒーが美味しいと評判の店らしい。


「で、そのカフェ、マスターがサボテンだからバイト頼みなのよ。」

「指示は出せても、動けないですからねぇ……」


「それでね、なんか最近、バイトの子達の人間関係が微妙らしくて……バイトはみんなクマだからって事で私に相談されたんだけど、正直よくわからなくて……」

「まあ、クマだからクマの気持ちがわかるって事もねえからなぁ」


 クロイさんの言うことももっともだが、クロジさんはまた別の意見のようだった。


「でも、サボテンさんにしてみたらまだ動物同士の方が分かるかも、って思う気持ちはなんとなくわかるよ!」


「……と、言うわけでこれから相談に行くんだけど、なんだか気が重くて……

。みんなもよかったら来てくれない?」


「あそこのマスター、植物同士だからコーヒーの目利きが凄いらしいよ。僕はちょっと会ってみたいな!」

「そう言うことでしたら、占いとカウンセリングが本業の姉さんも呼びましょう。」

「まあ、ヒマだしコーヒー飲みがてら行ってみるか!」


 そんなこんなで、ボクとクロイさん、クロジさんに姉のクマチェリーナ(愛称はマーチャ)、熊子ちゃん、そしてクマスタシア(愛称はクマーリャ)のフルメンバーで、金沢八景のサボテンが経営するカフェへと向かう事にした。

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