第1話 品川駅、三宅竿は動揺していた
東京駅から品川駅までは、案外さほど遠くない。十分程度だ。しかしそこからが本番なのだ、とひかりがつぶやいているようだ。
三宅竿は、「次は品川」という自動音声を聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。ふと、後ろに何かいるような気配がした——恐怖が蘇ってきた——。十一時十五分。
*
その二十分後、東京駅で……
「んな! 一体どうしたってんだ!」
「ったく! 下田さんのせいですよ!!」
「あーあ、報酬が……」
「まあいいじゃないですか。ほら、後続のひかりに乗りますよ!」
二人も吸い込まれていった——。
*
「え、竿さんが死んだ!?」
「え〜! 嘘だぁ、悲しいです……」
塩田も三宅と同じ新幹線に乗っていた。
「そういやさっき、パン! という音がしましたが、あれ銃声だったんですね……」
電話の向こうから、『どうして違和感感じないんだよ!』と怒号が送られてくる。セアは探偵軍のスパイだった。今回限りのスパイである。三宅竿の護衛を募集した時、一番熱烈なメッセージを送ってきたのが同級生の塩田であった。
電話が切られると、塩田の顔に笑顔が浮かんだ。
「あーあ、あの探偵ども、まだ気づいてないのか……」
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